人徳とテクニック。私が一緒に働きたい人について考えていること
秋空の 空にきらめく星のした 走る足音 息切れるかな。
すぐ調子にのって歌を作ってみました(河口慧海さん的:ブログ参照)。
今日はおやすみをもらって歯医者さんへ。チェック、メンテナンス、ケア質問が中心です。予防にまさる治療なしですからね。
今回のテーマは「採用」です。ちなみに行っている歯医者さんは皆、顔採用!?と思えるくらいの美女揃いです。
「仕事ができる人」と「一緒に働きたい人」
企業の採用担当者に、選考で何を重視するかを尋ねたアンケートがありました。(「企業の『新卒採用動向』における調査 2025」結果報告)
最も多かったのが「人柄や性格」で約6割。次いで「自社への熱意」「思考力や問題解決能力などの汎用的スキル」「採用ポジションへの適性」と続いていました。
資格や専門的なスキルよりも、知識や技術だけでは測れない部分を重視する傾向があるようです。
これを見て、私自身も採用について少し考えてみました。私が一緒に働きたいと思う人は、どんな人なのか。
結論から言うと、ぜいたくではありますが、私は「人徳とテクニック」の両方を持っている人と働きたいと思っています。それに応じれるほどのクリニックであれるのか!?
私が大切にしたい「人徳」
まず、人としての特性です。私は、優しさ・思いやり、清潔さ、明るさ、正直さ、素直さ。こういうものを大切にしています。
これ論語から取っています。仁・清・明・正・直ですね。余談ですが、大正時代の女性の名前が上記5つ+子で出来ていることって多いですよね。昔の人は論語読んでたんだろうなぁと推察しています。
話題が戻りまして、もちろん、医療の仕事ですから、資格や専門的な技術は必要です。ただ、それだけでは「この人と一緒に働きたい」とはならない。むしろ、仕事を一緒にするという意味では、人としての特性のほうが大きいのではないかと思っています。
例えば、素直さ。
これは単に「言われたことを何でも聞く」という意味ではありません。人からアドバイスを受けたときに、一度受け止めることができる。自分のやり方がうまくいかなかったときに、「自分は間違っていたかもしれない」と考えられる。そして、そこから学ぶことができる。
これは仕事をする上で、とても大切な能力だと思います。
「正直さ」は、学ぶための土台になる
正直さも大切です。仕事をしていれば、誰でも間違えます。私自身もそうです。問題なのは、間違えることそのものではありません。間違いを認められないことのほうが、私は怖いと思っています。正直でないと、無意識のうちに自分の失敗をごまかしてしまうことがあります。そうすると、失敗から学べません。
逆に、「ここは自分が間違っていました」と認めることができれば、そこから次の工夫ができます。そういう意味では、正直さと素直さはつながっているのだと思います。
はい、ここで少し補足です。医療では、間違えてはいけないところは必ずあります。ですから、そこはダブルチェックや仕組みで可能な限りサポートしていますよ。
仕事ができる人は、「工夫できる人」
では、次に「仕事ができる人」とはどんな人でしょうか。私が見ているのは、単純な仕事の速さではありません。
一つは、いろいろな出来事から学べる人です。うまくいったことがあれば、「なぜうまくいったんだろう」と考える。うまくいかなかったら、「次はどう工夫したらいいだろう」と考える。そうやって経験を次の行動につなげられる人は、仕事ができるようになっていくと思います。
整理整頓ができることも、仕事の能力の一つだと思います。ただ、これも面白いもので、仕事場はきれいだけれど家はそうでもない、という人もいます。私も恥ずかしながら20代の頃は、そんな感じでした。お家のメンテナンスって意味が分かっていなかった。まだミニマリスト傾向でしたから助かりましたが。だから「整理整頓ができる人」というのも、生まれつき何でもできる人という意味ではありません。仕事をする上で必要なところを整えられる。そういう技術を身につけていることが大切なのだと思います。
医療現場で必要なのは「問題を見つける力」
医療現場では、専門的な知識や技術以外にも、汎用的なスキルが必要です。今回のアンケートでも指摘されていますね。その一つが、問題を見つける力だと思います。解決する能力より、見つける能力、問を立てるですね。
患者さんが来院されたとき、患者さん自身が「本当の問題はこれだ」と分かっているとは限りません。まず、「何が問題なのか?」を考える必要があります。
そして、慢性疾患などの場合は、一度にすべてを解決できるわけではありません。問題を細かく分ける。優先順位をつける。一つずつ取り組む。必要ならスケジュールする。こういうことも、医療者に必要な問題解決能力だと思います。
さらにこのご時世、デジタル技術など、新しいものを使えることももちろんめちゃくちゃ大切です。ただ、道具を使う前に、「そもそも何が問題なのか」を考えられることのほうが重要なのではないでしょうか。
医療には「正解のない問題」が多い
医療の仕事をしていると、正解が一つではない問題に毎日のように出会います。すべてを解決できるわけではありません。
では、解決できなければ何もしないのかというと、そうではありません。自分では解決できなくても、解決できそうな人につなぐことはできます。完全には解決できなくても、できることを考えることはできます。見方を変えることもできます。誰かに協力してもらうこともできます。「あ、これは問題かもしれない」と気づいたことを、他の人に伝えることもできます。
私は、そういう姿勢も問題解決能力の一部だと思っています。
「熱意」は、やる気とは少し違う
採用で「自社への熱意」が重視されるという話もありました。さて、医療機関で働く人の「熱意」とは何だろう、と考えます。
私は、「やる気」とは少し違うと思っています。やる気は、出たり引っ込んだりします。今日はやる気がある。今日はちょっとない。人間なので、それは当然だと思います。
私が大切だと思うのは、むしろ「グリット」や「コミットメント」に近いものです。患者さんの役に立とうとする。チームの役に立とうとする。組織のために、自分にできることを考える。そういう気持ちです。毎日ずっと高いテンションで仕事をする必要はありません。
でも、「自分に何かできることはないかな」と考える姿勢は持っていてほしい。私は、そちらのほうが大切だと思っています。
一緒に働くなら「信頼できる人」
仕事ができる人と、信頼できる人。どちらと一緒に働きたいかと聞かれたら、私は信頼できる人を選びます(呂布は選ばないのだよ!かっこいいが)。もちろん、理想を言えば両方です。人徳があって、専門的な技術も高い。そういう人と仕事ができれば、それは素晴らしいことです。と言うかそういう人に出会えたならば神様に感謝しなければなりません。
ただ、能力が高くても、チームプレイができない人とは一緒に働くことが難しくなることがあります。自分の能力を示したい気持ちが強すぎて、他人を見下してしまう。承認欲求が強すぎて、マウンティングしてしまう。そうなると、個人としては優秀でも、チームとしての力が落ちてしまいます。
医療は一人で完結する仕事ではありません。チームとして、全体のアウトプットを高める。私はそこを大切にしています。
壮大な余談ですが、チームプレーが好きな人、学びたい人には「ワールドトリガー」というマンガがお勧めです。先日30巻が出ました(パチパチ)。
以前にもブログに書いたと思いますが、あえて再度書きます(好きだから!推しだから!)。ビジョンを持つが力がない、テクニックはあるがビジョンがない、力はあるが覚悟がない。何かが欠けたメンバーが、ネイバーと戦っていくお話です。
ただ、人は面接だけでは分からない
ここまで話しておいてですが、人柄というものは、実は面接だけではなかなか分かりません。履歴書を見ても分からない。面接をしても分からない。一緒に働いてみないと分からない。これが私の実感です…。アホ、こんなふうに見るんだよ!と言える人がいたら教えてください。
現実的には、人を見るときには「分からない」と思って接するくらいがちょうどいいのではないかと思っています。その意味では、インターンシップや、お互いに仕事を知るためのお試し期間のような仕組みには意味があるのかもしれません。面接で「この人はこういう人だ」と決めつけるより、実際の仕事の中で少しずつ分かっていく。
人間というのは、それくらい複雑なものだと思います。
自分の強みと弱みを分かっている人
面接で「この人は自分のことをよく分かっているな」と感じることも、実はそれほど多くありません。そこを評価できるほど、人徳が至っておりませぬ。ただ、自分の強みと弱みを理解していて、それに対してどう対応しているのかを話せる人は、自分自身への理解が深いのだろうなと思います。
これは仕事をする上でも大切です。自分に何ができるのか。何が苦手なのか。どこまでは自分でできて、どこからは人に頼ったほうがいいのか。
それを分かっている人は、チームの中でも力を発揮しやすいのではないでしょうか。
私自身も、採用される側だったが…
そう考えると、私自身が採用される側だった頃のことも思い出します。これまで医師は比較的「売り手市場」だったので、採用面接の練習をした記憶はほとんどありません(すみません)。かなり素のまま面接に臨んでいました。
大学の研修医のときの面接で、教育担当のE先生から、「医者に大事なことは何だと思う?」という趣旨の質問をされたことがあります。そのとき私は、「コミュニケーション」と答えました(感覚的に)。勘にしてはまあまあセンスがあるねと、自分で自分を褒めてあげたいです。医療は知識だけではできない。技術だけでもできない。人と人との間で行われる仕事だからです。
人徳とテクニックの両方を磨いてほしい
私は、一緒に働く人には、まず人としての部分を大切にしてほしいと思っています。優しさ。清潔さ。明るさ。正直さ。素直さ。思いやり。その上で、テクニックを磨いてほしい。技術を身につけてほしい。問題解決能力を高めてほしい。仕事のやり方を工夫してほしい。
医療は侵襲的な行為があるからこそ、人徳がないと怖い人になりますよね。
できないことがあっても、「自分にはできない」で終わらせない。タスクを細かく分けてみる。やり方を変えてみる。誰かに相談してみる。そうすれば、できるようになることはきっとあります。そして、できるかどうか分からないことに対しても、少しずつ挑戦してほしいと思っています。
働くことで、人として成長してほしい
採用した人が、どんな人になってくれたら嬉しいか。私は、仕事を通じて人としての徳を高めていってほしいと思っています。その中で、テクニックも身につけてほしい。問題解決能力も高めてほしい。欲張りですができれば、医療機関以外の場所に行っても通用するくらいの力を身につけてほしい。
医療機関には、毎日、何かしらの問題を抱えた人が来ます。その問題に向き合っているうちに、「何が問題なんだろう」「どうしたらよくなるんだろう」「自分にできることは何だろう」と考える習慣が身についていけば、それは医療以外の仕事でも役に立つはずです。
そういった意味では問題解決能力は医療機関だからこそよく鍛えられますね。医療機関で働く皆さん!良かったですよね!?
そして、そういう人に選ばれる職場でありたい
一方で、これは採用する側だけの話ではないと思っています。「人徳があって、技術も高い人に来てほしい」と言うだけでは駄目です。そういう人は、どこの医療機関でも、どんな職場でも必要とされています。だから、その人が「ここで仕事をしたい」と思えるクリニックでなければいけない。
良い人材を選ぶだけではなく、良い人材から選ばれる側にもならなければいけない。これは、私自身がこれから考えていかなければならないことだと思っています(診療報酬ぅぅぅ…)。
採用について考えていると、結局は「どんな人を採用するか」という話だけでは終わりません。「自分はどんな人と働きたいのか」そして、「自分自身は、そういう人と一緒に働くに値する職場をつくれているのか」という問いに戻ってきます。
人徳とテクニック。
どちらか一方ではなく、その両方を持った人たちが、一緒に仕事をしながら少しずつ成長していく。私は、そんな職場にしていきたいと思っています。


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