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“良い臨床家を諦める”という覚悟 ──佐賀大学総合診療部同門会に参加して

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土曜の早朝は訪問診療、午前は外来へ。そして昼過ぎ、歩いてマリターレ創世佐賀へ向かいました。5分程度の距離なのですが、一瞬で汗だくになりましたね。疲れてはいましたが、この日の「佐賀大学総合診療部同門会」はとても楽しみにしていました。私を育ててくれた医局や先輩方。今も現場の最前線で奮闘する仲間たち。その姿に触れておきたいと思いましたし、課題の共有ができれば嬉しいなと考えつつ参加しました。 同門会では、研究の一般講演と、佐々木先生の特別講演がありました。本村先生の非感染性炎症性疾患についての研究も臨床にすぐに応用できそうな内容で刺激的でした。また現在当院にも関わっていただいている香月先生と、東邦大学総合診療部の佐々木教授の講演もありました。  香月先生の発表では、 大学での研究をチームで行う というお話。研究と臨床、研究と学生、研究と…と様々なポイントでコラボレーションしつつ、研究マインドを育てているとのことでした。そのかいもあって英語の論文は毎年20本発表できている、佐賀大学の中でもまずまず発表できている方だとのことでした。 「一人一症例にに取り組むことを課題としている!」とプレッシャーが会場内に響き渡りました(笑)。その積み重ねが教育にも、研究にもつながっていく。研究者としては、若手に学位取得の道を提示しながら、チームで支える姿勢を強調されていたのがとても香月先生らしく、背筋が伸びる思いでした。  その後の講演で登壇されたのが、東邦大学の佐々木先生でした。 タイトルは 「なぜ大学で総合診療をやるのか」 。 一番、なるほどと共感したフレーズは、  「私は“良い臨床家であること”を諦めた。」  この覚悟はすごい!ことだと思いました。大学病院より市中病院のほうが総合診療医の能力は正直生きるんですよね。臨床能力って言うのはある意味医師のプライドの一つではあるのですが、割り切れるところが心より凄いと思いました。いや、ジレンマを感じているとのことでしたので、割り切れてないのかもしれませんが。 大学病院という環境で、研究・教育・臨床の“ジャグリング”を続けるなか、自分自身の臨床力が低下していく実感と向き合いながら、それでも「育てる」ことを選び続ける──。これは並の覚悟ではありません。ただし、教育のスキルっていうのは、医師のキャリアでいうと汎用性が乏しいんですよね(現...