受付の態度が悪いって言われやすい理由
口コミを見ていると、かなりの頻度で出てくる言葉があります。
「受付の感じが悪い」「電話対応が冷たい」
医療機関としては、これはなかなか耳が痛い話です。
実際、医療機関の評価って、医師の診療内容よりも、受付や電話の印象で決まってしまうこともあります。
ただ、これを単純に「受付の人の性格が悪い」とか「接遇教育が足りない」と片付けてしまうと、問題の本質が見えなくなります。
現場で見ていると、むしろ逆で、受付という仕事の構造そのものが、誤解を生みやすい仕事なんですよね。
今日はそのあたりを、現場側の感覚で少し話してみたいと思います。
まずですね、医療機関の受付って普通のサービス業とちょっと違うんですよ
まずここを理解してもらうと、かなり見え方が変わると思います。
例えばラーメン屋さんに電話したとします。「今空いてますか?」って聞いたら、「はい、大丈夫です」これで終わりですよね。
あるいは「席予約できますか?」「できますよ」これで話は成立します。
つまり飲食店の受付って、基本的には来たい人を受け入れる仕事なんですよね。
ところが医療機関はそうではありません。
例えば電話で「熱が出たんですけど診てもらえますか?」と聞かれたとき、受付の頭の中ではいくつかの判断が走っています。
例えば
- この症状は当院で対応可能なのか
- 感染症対応が必要か
- 今受診するタイミングなのか
- 検査の精度が出るタイミングなのか
- 他の医療機関の方が適切ではないか
こういうことを、受付の段階である程度考えています。
つまり医療機関の受付は、単なる受付ではなく、最初の振り分け機能を持っています。これは医療の言葉でいうと「トリアージ」に近い概念です。
例えばラーメン屋さんで、「こってりラーメンありますか?」と聞かれたとします。もしその店があっさり系のラーメン屋だったら、「いや、うちはあっさりなんですよ」と説明するかもしれません。でも普通は「じゃあ食べてみます」で終わる話です。
ところが医療の場合はそう簡単ではありません。
例えば「インフルエンザ検査してほしい」と言われても、発症から時間が短いと検査は陰性になります。そうすると「今日は検査しても出ない可能性が高いです」と説明する必要があります。
この説明が、人によっては断られたと感じるんですね。
ここが医療受付の難しいところです。
電話って実はすごくいろんな種類がかかってきます
クリニックの電話って、想像以上に種類が多いです。患者さんの受診相談だけではありません。
例えば
- 新しい患者さんの受診相談
- 予約変更
- 予約キャンセル
- 施設からの問い合わせ
- 訪問診療先からの連絡
- 薬局からの処方確認
- 検査結果の問い合わせ
- 行政からの連絡
こういう電話が1日中かかってきます。
例えば休日当番医の日なんかだと、新患だけで70件くらい電話が来ることもあります。つまりその日は、新患の電話を70回受けているということになります。
これに加えて
- 窓口対応
- 会計
- レセプト業務
を同時にやっています。
ここで大事なのは、電話対応だけをしているわけではないということです。
受付の仕事は基本的にマルチタスクです。
例えば
レセプト入力をしている
↓
電話が鳴る
↓
電話を取る
↓
患者さんが窓口に来る
↓
会計する
↓
また電話が鳴る
この繰り返しです。
しかも電話の内容は単純な予約ではありません。例えば発熱患者の場合、「今日検査した方がいいのか」という相談が入ります。ただ受付は医師ではありません。医学的判断には責任を持てないので、「おすすめとしては明日です」という言い方になります。これが曖昧に聞こえることがあります。
患者さんが「態度悪いな」って感じるのはだいたいこの3つですね
患者さんの不満は、大体この3つの要素でできています。
- 態度
- 待ち時間
- 説明
この3つです。
そして現場感覚でいうと、このうち2つが悪いと強い不満になります。例えば待ち時間が長い、説明がない。ここに態度の悪さが加わると、かなり印象が悪くなります。
逆に待ち時間が長くても「今日は混んでいて1時間くらいかかります」と説明があれば、かなり印象は変わります。
つまり不満の原因は態度だけではないんですよね。
本当に意地悪な受付ってそんなに多くないと思います
これは現場の感覚ですが、本当に意地悪な人ってそんなに多くないと思っています。うちの受付は皆いい人です!言い切れます!!がんばりやさんで、真面目です!
他のところを踏まえても感覚的には10人に1人以下くらいでしょうか。
むしろ多くの場合は
- 業務量が多すぎる
- 判断権限がない
- ルールに縛られている
という状況です。
例えば「今日予約入れてほしい」と言われても、予約枠が埋まっていたら入れられません。でも患者さんからすると「ちょっとくらい融通きくでしょ」と思います。このギャップが、受付の印象を悪くすることがあります。
医療事務って接客業なの?ってよく聞かれるんですが
答えは接客業でもあり、専門職でもあります。
まず接客業の要素。受付は患者さんにとって医療機関の最初の接点です。しかも患者さんは、症状があって不安な状態で来ています。飲食店のように「今日は何食べようかな」という気持ちではありません。むしろ「大丈夫かな」という気持ちで来ています。その意味では、普通の接客より難しい部分があります。
一方で医療事務は専門職でもあります。
例えば
- 診療報酬
- レセプト
- 保険制度
- 薬剤名
こういう知識が必要です。
診療報酬なんて、普通のアルバイトではまず理解できません。つまり医療事務は接客と専門業務の両方を求められる仕事です。
医療事務がしんどくなるのって、だいたいここなんですよ
医療事務の仕事は、患者と医療機関の間に立つ仕事です。
患者さんは「助けてほしい」と言います。
医療機関は「このルールで対応します」と言います。
この調整をするのが受付です。この役割は、精神的に結構大変です。だからこそ患者さんの「ありがとう」これはかなり救いになります。そしてもう一つ大事なのは医師や看護師が受付を守ることです。
受付が一番矢面に立つ仕事なので、そこは組織として守る必要があります。
優しい受付ってどうやって作るの?って話なんですが
よく「受付は性格が大事」と言われます。もちろんそれもあります。ただ現場で見ていると、一番大きいのは仕組みです。
例えば
- 受付の判断ルール
- 院内フローチャート
- 情報共有
これがあると、受付はかなり楽になります。逆にこれがないと、全部個人判断になります。そうなると疲弊します。
電話が鳴り続けるクリニックって、実は原因が結構はっきりしていて
これはデジタル化です。
例えば
- ホームページ
- オンライン予約
- LINE予約
- チャットボット
こういう仕組みがあると電話は減ります。逆にないと、全部電話になります。今後はAIの問い合わせ対応も増えていくと思います。と言うより人を無料で使うなんてもったいない!的な感覚になるかもしれませんねぇ~。
医療事務って実は地域医療のかなり大事なところを担っています
医療事務は単なる受付ではありません。
- 地域医療の中では
- 情報共有
- 連絡調整
- 問い合わせ対応
こういう役割を担っています。
もし医療事務がいなかったら、医師や看護師の仕事はかなり止まります。体感ですが、医療機関の機能は半分以下になると思います。
チームになろーよー
医療事務という仕事は、あまり目立つ仕事ではありません。でも医療の入り口を支える仕事です。地域医療は、医師だけでも看護師だけでも回りません。
受付も含めて、チームです。
もし医療の仕事に興味がある方がいれば、医療事務という仕事もぜひ知ってほしいなと思います。そして報われる診療報酬であってほしいなぁ~(遠い目。。。)
数も大事だけど人も大事ですよね。
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