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いい医療を続けるために、医療機器の採算性を考える -アトルフェア その2 医療機器の導入について-

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さー、徐々に寒くなってきました。バルーンが上がり始めて、駅前通りのライトファンタジーが始まって、佐賀の冬がやってきましたね。今年はバルーン会場まで自転車か、バス、はたまた走って行くか迷うところです。走っていくと汗で寒くなりそうです。 さて、アトルフェア1はAIについてでしたね。まだまだ、考えることがありましたので、アトルフェア2です! 高性能な医療機器でも、導入しないことがある理由 アトルフェアでは電子カルテや在宅医療向けのシステム、認知症検査のアプリケーションなど、興味深い展示がいくつもありました。展示会で医療機器を見るとき、私がよく確認することがあります。それは、初期投資(イニシャルコスト)とランニングコストです。どれだけ便利で高性能な機器でも、クリニックとして採算が取れなければ導入は難しくなります。 具体的には、まず損益分岐点を考えます。1日に何人くらい検査をすれば収益が保たれるのか、初期費用をどのくらいの期間で回収できるのか、といった点です。できる営業さんだと、一日◯人のニーズがあれば!と提案してくれます。ちなみに検査では「検査料」だけではなく、「判断料」を収益に入れる場合は要検討です。電子カルテではオペレーションコスト(時間)をどれだけ浮かせれるかが大切です。 さらに、DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)という考え方も使います。将来得られるキャッシュフローを現在の価値に換算して、投資の妥当性を評価する方法です。こうした見積もりは一人で行うのが難しいので、AIにもサポートしてもらいながら検討しています。 もう一つ重要なのが、診療報酬の動きです。医療では、ある検査や治療が広く普及して件数が増えてくると、厚生労働省が診療報酬の点数を引き下げる方向に動くことがあります。診療報酬は皆さんの社会保険料とは重々分かってはいるのですが、5年、10年のプランで考えているのに辛いです…(T_T)。昨今のニュースで言えば、住宅ローンを借りたら、変動金利で支払いが増えたのと似ていますね。 そのため、現在の収益だけで判断するのではなく、将来的に診療報酬が下がった場合でも採算が取れるかを考えます。投資判断では、できるだけ厳しめの条件を想定するようにしています。 さらに注意したいのが、ニーズがないのに導入すると「医師誘発需要」というよくない現象もおきえます。ここは意義がないとは言...

AI時代に医療スタッフに求められるのは、マルチプレーヤーであること -アトルフェア その1 AI関連-

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 アトルフェアに行ってきました~。直前に台風、緊急往診とありもう無理か…。と思いきやなんとかギリギリに入れました。今年は博多駅直結ではないので、車で福岡に。久々の福岡の道は全く忘れており、四苦八苦して到着しました。 AIで仕事が減れば、患者さんと向き合う時間は増えるのだろうか アトルフェアは最新の医療機器や、各社がどのような工夫をしているのかを見ることが目的です。 今回、特に印象に残ったのは、医療現場へのAIの実装がかなり進んできていることです。 電子カルテでは音声入力が導入され、AIによるレセプトチェックも登場していました。例えば、カルテの内容を読み取ってレセプトの確認を支援する仕組みです。月1,000人分のレセプトで月額約15,000円という価格もあり、以前に比べて導入しやすくなっている印象でした。 こうなると、医療事務さんの仕事そのものを考え直す必要が出てきます。レセプトの知識だけでなく、カルテを読み解いて適切なコメントをつける技術(これはもうAIができそうです)、患者さんへの接遇、地域の医療機関との連携、広報活動など、従来とは違う仕事に目を向ける必要があるかもしれません。 もう一つ興味深かったのが、認知症の検査を支援するアプリケーションです。長谷川式認知症スケールのような検査を、画像を使って3分という短時間で行える仕組みでした。 人が検査に付き添う時間を減らせることはメリットです。一方で、患者さんの反応や、どの部分で間違えたのかといった細かな様子を観察することは難しくなります。短期記憶やワーキングメモリーなど、認知機能のどの部分に問題があるのかを考えるには、人間による観察も重要です。 AIや機械によって仕事が効率化されれば、その分、患者さんの悩みや困りごとに目を向けられるようになる。理想的にはそうありたいと思います。 ただ、現実は必ずしもそうならないかもしれませんね。 業務が効率化された結果、スタッフの人数そのものが減り、患者さんが相談したいと思ったときに、現場に人がいない。そんな状況になる可能性が高くなりそうです。効率化によって浮いた時間が、必ず患者さんのために使われるとは限らないのです。 少し話がそれて、ガソリンスタンドの話です。安いセルフのガソリンスタンドが増えたせいで、自分で入れられない(身体的、精神的に)方が困っているという話を聞いたことが...

AIセルフコーチングとは? 医師が1週間試して気づいた、自分の価値観との向き合い方

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 今日はとっても検査が多い日で、胃カメラ、エコーと続きました。どっきりで中部病院さんの入院患者さんの状態確認に行ったりと多動な一日でしたね。アポなしで行ったのに、快く迎えてくださったO先生、H看護師さんありがとうございました。 さて、今回も!読書感想文です。 AIとの対話で、自分の価値観を見直してみた 最近、AIを使ったセルフコーチングを試しています。 今回読んだのは、『 対話するたび成長する AIセルフ・コーチング 自分専属のAIコーチの作り方 』という本です。 以前のブログで書いたように、特別にこの本を探していたわけではありません。いろいろなジャンルの本を読むようにしているので、今回はたまたま手に取りました。 ただ、以前からAIを仕事の中で使いながら学ぶことには関心がありました。例えば、診療報酬の算定について調べるときです。どのような病名や病状が算定の根拠になるのかを確認しながら、医学的な知識や制度への理解を深めています。 分からないことをAIに調べてもらい、理解を深める。そうすると、次からは自分で判断できることが増えていきます。AIを単に作業の効率化に使うだけではなく、自分自身の能力を高めるために使う。これは以前から実践していることです。システム2で学んで、エッセンスを抽出しシステム1への思考レベルを上げる?ことができるのではないかと考えています。 今回の本で興味を持ったのは、AIを自分自身の考え方や価値観を振り返るためのコーチとして使う方法でした。実際に試してみると、思いがけず、自分の働き方について考え直すきっかけになりました。 仕事をもっと頑張らなければ、と思っていた 私は子どもが多いので、将来の教育資金について考えることがあります。いったい、どれくらいのお金が必要になるのだろう。そう考えると不安になり、家庭のことよりも、仕事をもっと頑張らなければいけないのではないかと思うことがありました。もちろん、お金は大切です。子どもたちが将来、進みたい道を選べるようにしておくことも、親として考えておきたいことです。 ただ、AIとの対話を通して考えを整理していると、一つの問いが浮かんできました。子どもたち自身は、どう考えているのだろう。私は、自分が必要だと思う教育資金について考えていました。しかし、子どもたちに直接聞いてみてもよいのではないか、という考えが出て...

医療機関の倒産が過去最多に。クリニックの経営難は、患者の受診機会をどう変えるのか

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定期の訪問がインフルエンザワクチン接種で追加業務があり大変です。さらに往診とそのマネジメントが増えて流石に疲れてきた今日この頃。一句歌う暇もございません。「ワクチンを…」 最近、外来ではトリアージをできているなあと思うことが多くありました。多くの患者さんの中からこれは病院にいかねばという人をピックアップする。こんなことが多いと…役に立てた嬉しさも大きいですが、やっぱり一息つきたくなりますね。 さてさて、今回は医療機関の倒産、廃業とアクセス制限の話です。 ネット予約ができない高齢者を断る。それは本当に間違いなのか 先日、SNSで気になる投稿を見ました。 耳鼻科の待合室にいたところ、杖をついたお年寄りが初診で来院したそうです。保険証を出したところ、「当院はネット予約の方しか受け付けません」と断られ、帰っていった。 投稿者は、代わりに予約を取ってくれるお孫さんがいることを願いながら、「間違ってない? ねえ、なんか間違ってない?」と問いかけていました。 この投稿を読んで、皆さんはどう感じるでしょうか。 ネット予約しか受け付けないのは、患者さんに不親切な対応でしょうか。医療機関なのだから、困っている人は受け入れるべきなのでしょうか。 私も地域でクリニックを経営する医師の一人です。この問題は、単純に「患者さんに優しくしましょう」という話ではないと思っています。 医療機関の経営は、厳しくなっている 2026年10月18日、 東京商工リサーチが医療機関の倒産動向 を公表しました。 1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明 引用:東京商工リサーチ TSRデータインサイト 2026年1〜9月の医療機関の倒産は59件。前年同期の46件を上回り、同期間として過去最多となりました。内訳はクリニック29件、歯科医院22件、病院8件です。背景には、物価や人件費の上昇、後継者不足、人材確保の難しさなどがあります。 クリニックを経営していると、こうした問題は決して遠い話ではありません。 診療報酬は医療機関が自由に価格を決められる仕組みではありません。一方で、物品の価格や人件費は上昇します。同じ医療を提供し続けていても、経営環境は厳しくなっていくわけです。 私自身、院長になって初めて、財務や人事など、勤務医時代にはほとんど扱わなかった問題に向き合うようになりま...

長時間労働は精神疾患の原因なのか?産業医研修で考えた過重労働対策の限界

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今日は、地区の住民運動会でした~!ほんのり暑い中皆盛り上がっていましたね。自分は途中で往診に呼ばれて抜けてしまいましたが、その後ちゃっかり打ち上げには参加してきました🍺 その仕事、本当にそこまでしてやりたいですか? 先日、産業医の研修を受けてきました。今回は実地研修もあり、グループワークもあり面白かったですね。M先生の話はいつも面白くて引き込まれます。 さて、産業医というのは、企業で働く人の健康を守るために、医学的な立場から助言する医師のことです。いま2つの企業の産業医として働いています。今回は、過重労働と健康への影響について学びました。 研修を受けて、改めて考えさせられたことがあります。長時間労働を減らすことは大切です。でも、それだけで働く人の健康を守れるのでしょうか。 そして、もう一つ。 働きすぎている人に対して、私たちは単に「仕事を減らしましょう」と言えばよいのでしょうか。 残業を減らすことと、健康を守ること 長時間労働が健康に悪影響を及ぼすことは、よく知られています。特に気をつけたいのが、睡眠時間です。残業が増えると、帰宅が遅くなる。翌朝の出勤時間は変わらない。すると、真っ先に削られやすいのが睡眠時間です。睡眠不足が続けば、心身の不調につながります。長時間労働は、腎機能など身体の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。 私自身、過重労働を防ぐうえで、まず守るべきなのは睡眠時間だと考えています。ただ、今回の研修で特に興味深かったのは、労働時間と精神疾患の関係について、一律に説明することの難しさでした。 労働時間と精神的な負担の関係は、単純ではありません。仕事への満足度や職場の人間関係、本人の置かれた状況など、さまざまな要因が関係します。 もちろん、だからといって長時間労働が精神疾患に関係しないという話ではありません。問題は、労働時間を減らすことだけで、精神疾患の予防を十分に説明できるのかということです。 ちなみに私の長時間労働は、通勤時間ゼロ、食事をプロテインなどで時短、趣味の息抜きはスプラトゥーンという形で成り立っています。もちろん、家族のサポートがあってのものですが。 過重労働が減っても、精神疾患は減っていない 研修で示された数字も印象に残りました。 過重労働に関する指標は、10年間で14%から8%に低下している一方、精神障害の労災支給決定件数は、同じ期...

人は能力で決まるのか、環境で決まるのか。人類の歴史から考えたこと

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人員配置が厳しい中、金曜日が終わりました。明日の土曜日を穏やかに過ごしたいところです。 今日の一句「ランの後 冷たい空気と 熱いお湯 生き生き感じる 秋の朝風呂」 もうそろそろネタ切れになりそうなので、今日の一句がなくてもご容赦ください。朝が冷えてきましたね~!熱いお湯もこれまた気持ちいい。おでんや鍋料理も美味しい季節になってきました。 人の能力よりも、環境の影響が大きいのかもしれない 今日は個別指導をの話からうってかわって『銃・病原菌・鉄』の下巻の読書感想文ですね。 読んでいて一番印象に残ったのは、人間の能力そのものに大きな差があるというよりも、置かれた環境によって、その後の発展が大きく変わるという考え方です。この本では、なぜ地域によって文明の発展に差が生まれたのか、という問題が扱われています。そこには、銃や病原菌、鉄といった技術や資源を手に入れやすい環境だったかどうか、という要因が関係しています。 つまり、ある集団が繁栄したからといって、その集団の人間がほかの集団よりも本質的に優れていたとは限らない。そもそも、発展するための条件が違っていたのではないか、ということです。 この考え方は、個人的には好意的に受け止めました。人の能力や努力だけで、その人の現在の状況を説明することは難しいと思うからです。能力があっても、環境に恵まれなければ、十分に力を発揮できないことがあります。逆に、環境が変わることで、それまで発揮できなかった能力が伸びることもあるでしょう。 これは、人類の歴史だけの話ではないと思います。 日々の生活の中でも、仕事がうまくいかず、精神的に落ち込んでしまう人を見てきました。そういう人を見ていると、本人の能力や努力だけで物事を判断することには限界があると感じます。 もちろん、環境を変えれば誰もが必ずうまくいく、という単純な話ではありません。それでも、今うまくいっていないことが、その人の能力の限界を意味するとは限らない。 そう考えられることには、意味があると思います。私はピグマリオン効果や自己達成予言の効果を、多分他の人より比較的高めに信じていますので、環境次第では変われるという可能性は残しておきたいですね。 それでも、人の性格には変わりにくい部分がある 一方で、人間の性質は環境だけで簡単に変わるものでもないように感じています。例えば、清潔さ、明るさ、正直さと...

集団的個別指導とは? 医療費が高いクリニックは不正をしているのか

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集団的個別指導に行ってまいりました~!診療で疲れている後、皆で集まりましたよ。参加された皆さんお疲れ様でした。皆さんのご期待に添えず?集団的個別指導時の句がひねり出せず。 今日の一句「朝焼けの 見える稜線鮮やかに 遠い家族と お看送りする」(高木瀬の施設) 医療費が高い。それだけで問題なのだろうか さ、九州厚生局が主催する「集団的個別指導」のお話です。2回目なので当日は、思っていたよりも穏やかな雰囲気でした。初めて呼ばれた知り合いの先生は心持ち緊張されているようでした。自分は少しほっとした気持ちになりましたが(笑) ところで、「医療機関が厚生局の指導を受けた」と聞くと、皆さんはどのような印象を持つでしょうか。何か悪いことをしたのだろうか。不正請求でもあったのだろうか。そう思う方もいるかもしれません。というより、そう思う人の方が多いかもしれません。 しかし、 指導を受けることと、不正をしていることは同じではありません。 今回は、集団的個別指導を受けた経験から、医療費と医療の適正化について考えてみたいと思います。 集団的個別指導とは何か まず、制度について簡単に説明します。 保険診療を行う医療機関は、健康保険法などのルールに従って診療報酬を請求します。厚生局は、保険診療の質を高め、診療報酬請求の適正化を図るために、医療機関への指導などを行っています。 ちゃんとルール通りにしてくださいね~って奴です。当日解説H先生が免許の講習の話をされていましたが、似ている制度ですね。 今回受けた集団的個別指導は、個別指導とは別のものです。 集団的個別指導では、診療科や医療機関の機能などを考慮したうえで、レセプト1件当たりの平均点数が高い医療機関などが選定対象になります。単純に医療費の総額が高いという話ではありません。 ここは、一般の方には少し分かりにくいところかもしれません。「医療費が高い医療機関が指導を受ける」と聞けば、その医療機関に問題があるから呼ばれたのだと思うかもしれません。しかし、選定されたこと自体が、不正を行ったという意味ではありません。 医療費が高いのは、医療機関が儲かっているからなのか 私が地域の皆さんに知っておいていただきたいのは、ここです。医療費が高いからといって、その金額がそのまま医療機関の利益になるわけではありません。 例えば、重症の患者さんを診療する場合を考え...