出来ない!をデキサイで解決できるのか? 好生館シンポジウム 2026/02/19
デキサイってトレンドですよね~。え、聞いたことない?
DxとAIあわせて、デキサイ!はい、いつも通り私の造語です。今回は好生館シンポジウムに参加してきました。テーマはDxとAIです。去年?前回?は、松田先生による疫学的な話で、佐賀記念病院を激ほめしてました。好生館シンポジウムは一般臨床ではない話題で面白いですよね。感謝です。
今回の講演で一番強く残ったのは、やっぱり「持続可能性」でした。病院とかクリニックって、結局そこに尽きるよな、と。人的資本をちゃんと活かすこと、それにDX、それから施設とか設備のマネジメント。この三つが噛み合っていないと続かない、という話でした。
DXっていうと、どうしてもツール導入とかAIとかに目が行くんですけど、あの先生が言っていたのはもう少し地味で。「アンシャックル」って言ってましたけど、足かせを外す、というか、いつも詰まるところを減らすことなんだと。たしかに現場って、なんでここで止まるんだろう、っていうポイントがいくつもある。そこが外れれば、そんなに劇的じゃなくても、全体は回り始める。そういう話だったと思います。
だから、AIを入れれば競争優位になるかというと、むしろ逆かもしれないとも思いました。AIが一般化すれば、どこも同じアルゴリズムを使う。アウトプットは標準化される。質の底上げにはなるけれど、差別化は消える。差がなくなれば、最後は価格か立地か、という話になりかねない。だからAIは戦略というより戦術だと思っています。「入れるかどうか」よりも、「患者さんは何を求めているのか」を言語化できているかどうかの方が、本当は大事なのではないか、と。
DXも同じで、万能ではない。うちでもSlack、LINE公式、メディカルケアステーション、電子カルテと、いろいろ使っています。確かに速くはなりました。でも正直、管理は難しくなった。通知は増えるし、チャネルは分散するし、重要な情報が埋もれるリスクもある。紙は目に入れば認知されるけど、デジタルは開かなければ存在しない。これって構造的な問題ですよね。便利になったはずなのに、別の足かせを増やしていないか、と自分でも疑っています。
だからDXはツール導入というより「情報設計」なんだと思っています。どこに集約するのか、通知はどう設計するのか、最終責任は誰か。そこまで考えないと、効率化どころか疲弊します。
10年後にクリニックがどうなっていたら失敗か、と聞かれたら、正直、まず「なくなってたらダメでしょ」と思います。きれいな話じゃないですけど。クリニックってインフラみたいなもので、水道とかと一緒ですよね。止まったら困る。多少値段がどうとか、混むとか、そういうのはあるにしても、なくなったら終わりです。だからまずは存続していること。これは理想論じゃなくて前提条件です。
だからこそ~、当法人はメディンフラ!メディカル+インフラです。
じゃあ、存続していれば成功かというと、それも違う。そこが難しいところで。成功って何だろうと考えると、三つくらいの視点かなと思っています。
一つは医療者側。余裕があるかどうか。疲れ切った状態で医療をしても、長くは続かない。二つ目は患者さん。必要なときに必要な医療を受けられるか。三つ目は保険者側。限られた保険料でちゃんと回せているか。この三つがそれなりのレベルでバランス取れていれば、成功と言っていいのかな、と。
ただし、ここでも理想を追いすぎると危うい。医療は100点を目指そうと思えば際限がない。でも経営は有限です。AIで3分短縮できるなら投資価値はある。でも30秒ならどうか。これは理念ではなく費用対効果の計算です。「100点を目指すDX」よりも「合格点を安定して取るDX」の方が現実的だと感じています。
AIの話も同じで、専門クリニックみたいに入力が限られているところは相性がいい。でもプライマリーケアはそう簡単じゃない。喉が痛いと言って来た人が、実は全然違う病気だったりする(本当は血圧の薬をここで貰いたいと相談に来てたり)。そういう横断的な判断は、まだ人間が強い気がします。だから、全部AIに任せるというより、どう分業するか、だなと思っています。
AI・Dxに対する教育も大切だと再認識しました。山本記念病院の先生は高齢のスタッフがデジタルに乗り切れていないとのこと。AIは入れれば動きます。でも活かせるかは人次第。タイピング、ショートカットキー、音声入力。そういう基礎スキルがないと形骸化する。これは技術の問題というより文化の問題です。臨床の教育は大切だけど、デジタルスキルの教育も何割か入れる必要があるなと考えました。また、試してみることを許容する空気、仕組みで考える姿勢。エンジニア的思考を持つ医療者が増えれば、臨床も経営も変わると思っています。
若い医療者には、デジタルに強くなれ、というより、デジタルで空いた時間を何に使うかを考えてほしい。外来って、待合に人がたくさんいると、正直ゆっくり話せない。余裕が欲しいのは本音です。でも、効率化して楽になるだけだと、そこで止まってしまう。その隙間時間で何をやるのか。説明をもう少し丁寧にするのか、予防に時間を使うのか、スタッフ教育に回すのか。それがたぶん、そのクリニックの色になる。
DXは目的じゃなくて手段だと言いながら、気づくと目的化してしまう。そこは自分でも常に疑っていないといけないなと思っています。本当に外すべき足かせは何か。外したあと、どこに向かうのか。そこを考え続けないと、ただ今より忙しいだけの未来になってしまう気がしますね。暇になったら何か新しいことを始めてしまうとスタッフから影で(表でも)言われている自分なので足かせが外れたら踊り続けます。
コメント
コメントを投稿