【詳しく知らないと損する、帯状疱疹ワクチンの案内】


帯状疱疹の真実―悪化すると「痛み」に悩まされ続ける可能性も

帯状疱疹はご年配の方に多く、病気・疲れ・ストレスがともなったときに発症しやすいです。この病気自体も痛みを伴いますが、さらに悪化すると「帯状疱疹後神経痛 (PHN)」と呼ばれる激しい痛みが残ることがあります。

帯状疱疹後の神経痛(postherpetic neuralgia;PHN)の観測データと痛みの強さ

  • 帯状疱疹症例の 10〜50% でPHNを発症

  • 60歳以上では 9.2% の人が3ヶ月以上痛みに悩まされる

  • イタリアの調査では50歳以上の 20.6% が3ヶ月後も痛みを感じ、9.2% が6ヶ月後も痛みが続いた

痛みは「焼けるような」「ズキンズキンとする」と表現されることが多く、衣類が触れるだけで強い痛みを感じる「アロディニア」に苦しむ人もいます。この痛みは数年にわたって残ることもあり、生活に大きな影響を与えます。

この痛み、帯状疱疹ワクチンで防げます

帯状疱疹は、水ぼうそうウイルスが体内に潜伏し、免疫が低下したときに再活性化することで発症します。しかし、ワクチンで予防することで発症率やPHNの発症率を大きく下げることができます。

帯状疱疹ワクチンの種類と比較

帯状疱疹ワクチンには主に2種類あります。

  1. 生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)

    • 1回接種

    • 予防効果:1年後60%、5年後40%

    • 自己負担額:2500円(佐賀市!!)

    • 免疫抑制剤を使用中の人はできません

  2. 組み換えワクチン(シングリックス)

    • 2回接種(2か月間隔)

    • 予防効果:1年後9割、10年後7割

    • 自己負担額:13,000円

    • 副作用が生ワクチンより多め

より高い予防効果を求める方には、組み換えワクチンがおすすめされることが多いですが、費用や接種回数の違いを考慮し、ご自身に合った選択をすることが重要です。

どちらもメリット・デメリットありますので、
医師が一概にどちらかを勧めることはあまりありません。

極論でどちらを選べばいいの?

  • 1回の接種で済ませたい人 → 生ワクチン

  • より新しいワクチンを希望する人 → 組み換えワクチン

  • 費用を抑えたい人 → 生ワクチン(2,500円)

  • 2回接種でも問題ない人 → 組み換えワクチン(13,000円)

  • 効果が強いほうがいい人→組み換えワクチン

  • 副作用が心配な人→ 生ワクチン

住んでいる地区で自己負担金が違います―使わないと損する公的補助

例えば、佐賀市では帯状疱疹ワクチンの接種費用に一部補助金が出ます。このような制度を知らずに「自己負担金が高いから」と接種を諦めるのは、とてももったいないことです。

補助を受けるためのポイント

  • 対象年齢:佐賀市では65歳の方が補助対象となります。現在は経過措置で70歳から5歳刻みで接種ができます。

  • 自己負担額:生ワクチン 2,500円 組み換えワクチン 13,000円
    組み換えワクチンは高いですが…、本来自費で打つと計45,000円前後になります。

この補助を活用すれば、自己負担を抑えつつ、大きなリスクを回避できます。ワクチンを検討する際には、ぜひ市の制度を活用しましょう。

帯状疱疹ワクチンの接種を考えている方へ

「痛みが長引くのは困る」そんな方は、今のうちに予防を検討するのがおすすめです。

ワクチンは取り寄せになりますので、即日打つことはできません。また、発注後のキャンセルができませんのでご留意ください。

また、2回目の接種は、通常1回目の接種から2ヶ月後になります。病院や市役所から連絡はきませんのでご自身で再度予約が必要です。

参考文献

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