リフィル処方せんは本当に便利?医師が現場で感じるメリットと見落としやすいリスク
リフィル処方せんっていうのは、簡単に言うと「1回受診したら、あとは薬局で繰り返し薬をもらえる仕組み」ですね。例えば3ヶ月分の薬が必要な場合、1回だけ受診して、あとの2回は薬局で受け取る、みたいな形です。
で、これ、確かに人によっては便利なんですよ。特に待ち時間が長い病院だと。通院回数減りますし、時間も取られない。
ただ、薬局には行かないといけませんからね。待ち時間が短いクリニック+長期処方だとメリットはあまりなさそうです。
便利なんですけど、あの、それって本当に全部いいことなのか?というのが今日のテーマです。
通院が減ることで、何が起きるのか
まー単純な話なんですが、通院が減ると何が起きるかというと、「医者と会う回数が減る」んですね(1+1=2くらい単純…)。
で、これ、意外と大きくて。
例えば、診察のときって、薬を出すだけじゃなくて副作用出てないかとか、食事どうですかとか、運動できてますかとか、あとは、なんとなく調子悪そうだなとか、そういうのも見ています。
これが、シンプルに減ります。
あとですね、これはあまり意識されないんですが、予防接種のタイミングとか、健康診断ちゃんと受けてるかとか、仕事や家庭のストレスとか、そういう「病気じゃない部分」も実は結構見てます。
このあたりが、ごっそり抜ける可能性がある、ということですね。
で、建前としては、
「薬剤師さんが生活指導を補う」という話にはなっています。
ただ、現場感としてはですね…そこまで時間をかけて薬剤師さんが継続的に生活指導ができる体制かというと、正直、まだ難しい部分が多いかなと思っています。
これは能力の問題というより、構造の問題ですね。日本の医療って、どうしても薄利多売になっているので、時間をかけるほど収益性が落ちる仕組みなんです。
医療は利益だけで語るものではないですが、診療所も薬局も継続するためにはある程度の収益は必要です。
なので、理想はあっても、実装が追いついていない、というのが現状かなと。
リフィル処方せんのメリット・デメリット
一応整理しておくと、
メリットとしては、
・通院回数が減る
・時間のロスが減る
・医療機関の混雑緩和
これは間違いなくあります。
一方でデメリットは、
・副作用や変化の見逃し
・生活習慣のチェック機会の減少
・自己管理への依存が強くなる
というところです。
で、ここ大事なんですが、この制度が「良いか悪いか」ではなくて、「誰に向いているか」という話なんですね。
個人的には、自分で情報を集めて、正しいか判断できて、運動や食事もある程度きちんとできている人。かつ混んでいる病院に通院している人。こういう方には相性がいいと思います。
ただ、肌感覚としては、そういう方って10人に1人か、多くて20人に1人くらいかなという印象です。
例えばこんなケース
例えばですね、
40代で、運動習慣もあって、健康診断も欠かさず受けていて、数値も安定している方。
この場合は、リフィル処方せんでも大きな問題は起きにくいと思います。
一方で、
60代で、忙しくて運動はあまりできていない、健康診断もなんとなく先延ばし、でも薬はちゃんと飲んでいる、という方。
この場合、薬だけは継続されるんですが、本来介入すべき生活習慣の部分がそのままになりやすいんですね。
で、気づいたときには、というパターンもあり得ます。
どう選べばいいか
まー結局のところ、自分がどちらのタイプか、です。
最低限、
・数値を把握しているか
・生活習慣を意識できているか
・予防(健診・ワクチン)を行っているか
このあたりができているかどうか。
全部完璧じゃなくていいんですが、ある程度自走できる人はリフィルも選択肢になります。逆に、そこがまだ整っていない場合は、定期的にチェックを受ける方が安全かなと思います。
当院のスタンス:あえて通院の価値を重視しています
で、当院としてはですね、リフィル処方せんを積極的には使っていません。理由はシンプルで、「健康はトータルで管理するもの」と考えているからです。
よく車検の例えをするんですが、車って、壊れてから修理するだけじゃなくて、定期的に点検しますよね。空気圧とか、オイルとか、バッテリーとか。
あれと同じで、症状が出ていなくてもチェックして、必要なら微調整する、というのが大事だと思っています。
なので、薬だけではなくて、生活習慣、予防接種、検診、ストレス、こういったものをまとめて見ていく。そのために、ある程度の接点は必要だと考えています。
また当院は、待ち時間が比較的短いこと、若くて落ち着いた患者さんは2か月までの長期処方をしていることからリフィルのメリットが少ないと考えています。逆に薬局に2回取りにくる方が面倒なことになりそうです。
結局、誰が関わるかだと思います
最後にですね。リフィル処方せんそのものが良いとか悪いとか、そこが本質ではないと思っています。結局は、「誰が、どのくらい関わるか」これに尽きるかなと。
しっかり自己管理できる方にとっては便利な制度ですし、そうでない場合は、逆にリスクにもなり得る。なので、制度で選ぶというより、自分の状況に合わせて、相談できる場所を持っておく、というのが大事かなと思います。
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