忙しいからこそ必要です|在宅・施設看護師に伝えたいフィジカルアセスメントの本質


施設の患者さんが「なんとなく変だな」って思ったこと、ありますよね。バイタルはそこまで悪くない。でも、なんか違う。で、電話するじゃないですか。クリニックや病院に。あ、入院中の患者さんでもありえますよね。主治医に電話する。

そしたら、「呼吸数は?」「食事量は?」「その所見どうですか?」って聞かれて。あー、そこ見てなかったな…って。で、もう一回確認して、また電話して。あれ、これ一回で終わったんじゃない?って。

こういうの、現場ではわりと普通に起きてますよね。

そんなときのフィジカルアセスメント

入院とは違って、在宅とか施設って、検査がすぐできないんですよね。だから、頼れるのは「問診」と「フィジカルアセスメント」。

ただ実際には、

  • 忙しくて一部しか見れていない
  • 思い込みで必要な所見を取り逃している
  • 情報が足りず、医師とのやり取りが増える

こういう状態、結構あると思います。忙しい現場ほど、系統立てたアセスメントが崩れやすいんですよね。

フィジカルアセスメントと情報共有の難しさ

施設で「なんかおかしい」と思って連絡したケース。でも、必要な情報が揃っていなくて、結局やり取りが長引く。

あるいは、在宅クリニックの看護師さんがドクターに報告したときに、「それで、呼吸数は?」「浮腫は?」って聞かれて、「あ、そこ取れてませんでした」みたいなこと。

これ、誰でも一度は経験あると思うんですよね。

あともう一つ。バイタルは正常だけど、なんか違和感があるケース。高齢者だと特にそうで、「異常だけどいつも通り」なのか、「いつもと違う異常」なのか、この判断が難しい。

ここが、フィジカルアセスメントの本質的に難しいところだと思っています。

スクフィジしようぜ

すぐ略するの止めたほうが良いですよ。高校生じゃあるまいしと言われそう。ですが、じゃあ何が大事かというと、結論はシンプルで。

フィジカルアセスメントは「スクリーニング」として使う、です。

つまり、

  • まずは一通り、抜けなく見る
  • 引っかかったところを深掘りする
  • 重症度を判断する

この流れ。

若い頃って、どうしても「異常を当てにいく」んですよね。でも実際は逆で、「異常はない前提で全部見る」ほうが精度は上がる。

これを教えてくれたのは好生館の某F先生。口頭で教えてもらったわけではないんですが、診察についていくと必ず全身診察してるんですよ。もう20年も前なのにその光景を思い出すことができます(感謝)。

あと具体的なポイントで言うと、

  • 呼吸数(SpO₂に頼りすぎない)
  • 食事量(消化管機能の指標)

このあたりは、忙しいと抜けやすいけど重要です。

ピットフォールに落ちるなぁ~

例えば、施設の高齢者で発熱があったとします。ぱっと考えると、肺炎とか尿路感染を疑いますよね。でも実際に見てみたら、関節が腫れていたとか皮膚に発赤があったみたいなケース、たまにあります。頻度は高くないけど、見逃すと診断がズレる。

こういう時に、「一通り見る」ができているかどうかで、その後の流れが変わります。

ルーチンワークに落とし込む

完璧にやろうとすると、たぶん続かないです。

なので、

  • チェックリストを使う
  • 毎回同じ順番で見る
  • 迷ったら「一通り戻る」

このあたりで十分です。

あと、個人的にはおすすめなのが、医師の診察と自分の所見をすり合わせること。「あ、この所見こう取るのか」っていう感覚のズレを埋めると、一気に精度が上がります。

フィジカルアセスメントはこれからもめっちゃ使えるスキル

うちのクリニックでは、看護師さんにもどんどん診察してもらいたいなと思っています。もちろん時間の制約はありますが、これからはこのスキル、確実に重要になると見ています。

特にオンライン診療。

看護師さんがそばにいて、医師と情報を共有する場面は増えるはずです。そのときに、「どのレベルで診察ができるか」が問われる。

だからこそ、今のうちから積み上げておく価値はあると思っています。

で、ここまでの話を踏まえてなんですが。

今回紹介したいのが、「エキスパートナース」という雑誌です。今月号の特集がフィジカルアセスメントで、在宅・施設の現場にかなりフィットしている内容でした。

いや、フィジカルアセスメントについて院内レクチャーせんといかんなぁと思ったら出会ったんですよ。運命の出会い。

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あともう一つ、特別号に入退院支援と社会資源の特集もあって、これは連携業務をやる看護師さんにはかなり実用的です。正直、いきなり専門書を買うのはハードル高いと思うので、まずはこういう雑誌から入るのは現実的だと思います。

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訪問看護ステーションに1冊置いておく、くらいでも十分価値はあります。

ちなみに研修医や医師向けにはこちらマクギーのフィジカル診断学です。身体診察の感度と特異度が記載されています。身体診察の面白さに目覚めた一冊でした。(自分のマクギーはもっと古いバージョンですが)

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フィジカルアセスメントはデキ看護師としてのリベラルアーツ

(引用:漫画「セスタス」)
フィジカルアセスメントって、派手なスキルではないです。

でも、正しい情報が取れる→ 正しい判断につながる→ 患者さんに返る

この流れの一番最初にあるのが、ここなんですよね。忙しい現場だからこそ、雑になりやすい。でも、忙しい現場だからこそ効いてくる。

まー、全部完璧にやるのは無理なんですけど。「一通り見る」という感覚だけでも、少し意識してみてください。

それだけで、結構変わると思います。

鍛錬!鍛錬!

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