“この先生じゃないとダメ”は本当に安心か—チーム医療の現実

「先生が変わると不安なんです」これ、外来でも在宅でも言われますね。あの、正直に言うと、その感覚はすごく自然だと思います。ずっと同じ医師に診てもらう安心感、ありますよね。

都会では、主治医制ではないと訪問診療のクリニックを変えるところもあるようです。逆に働き方改革や女性医師の増加、働き方の多様性の増加が原因で「チーム医療」でないと働き手がいないという時代でもあるようです。

そのチーム医療って最近よく聞きませんか?本当に“一人の医師に依存すること”が、長期的に見て一番安定しているのか?少し考えてみましょう!

実際の行動として多いのは、「この先生じゃないと嫌だから、他は受診しない」という選択です。これ、短期的には合理的なんですが、長期で見ると少しリスクがあります。

例えば、

  • その医師が休んだときに対応できない
  • 情報が属人化してしまう
  • 別の視点が入らない

医療って、どうしても不確実性が残る領域なので、一人に集約しすぎると“揺らぎに弱い構造”、(≒緊急時に弱い構造)になりやすいんですよね。

主治医制の強みと弱み

現場にいると、これを強く感じます。医師も人間なので、インフルエンザにもコロナなりますし、入院が必要になることもあります。いわゆる「医者の不養生」ですね。そのときに、「この患者さんのことは自分しか分からない」状態って、正直かなり不安定です。

一方で、主治医が長く関わっている患者さんの“背景”や“価値観”は、カルテだけでは完全に再現できません。

ここは難しいところで、

  • 属人的な強み
  • 属人的なリスク
両方が同時に存在しています。

チーム医療の本質

チーム医療の本質は、単に人数を増やすことではありません。いくつかのポイントに分解すると整理しやすいです。

まず、複数の視点。
同じ症状でも、総合内科と循環器内科では見立てが変わることがあります。これはブレではなく、解像度の違いです。たとえると、天気予報に近いですね。東から見るのか、西から見るのかで、雨の予測が少し変わる。情報が多いほど、全体像は立体的になります。

次に、ミスの低減。
複数人で確認することで、単純に見落としは減ります。ただし、その代わりにコミュニケーションコスト(時間・手間)は増えます。なので重要なのはバランスです。

そしてもう一つ。
今は電子カルテの普及で、医療情報そのものはかなり共有しやすくなっています。

むしろ問題になるのは、

  • 患者さんの価値観(検査は多めがいいのか少なめがいいのかなどなど)
  • 入院に対する許容度
  • 生活背景

こういった“ナラティブ”の部分です。ここはまだ、完全には共有しきれない領域です。

やっぱり緊急時が困る

例えば、60代の方。高血圧と心不全で通院中とします。普段は主治医が定期的にフォローしている。ただ、ある日、急に発熱して受診した。

このとき、

  • 主治医しか情報を持っていない状態
  • チームで情報が共有されている状態

どちらが安心か。後者であれば、別の医師でも過去の経過を踏まえて判断できます。さらに、必要なら主治医にフィードバックされる。この“循環”があると、継続性は「個人」ではなく「仕組み」で担保されます。

チーム医療を使ってみる

じゃあどうするか。主治医を二人持つ。いや、これは冗談です。極端に振る必要はないと思っています。

  • 主治医は持つ
  • ただし、他の医師でも診てもらえる状態を作る

このくらいが現実的かな。

あとは、

  • 自分の価値観を言語化しておく
  • 重要な情報は自分でも把握しておく

いわゆるパーソナルヘルスレコードの考え方ですね。医療を“丸投げ”しないことも、安定性を上げる一つの方法です。

江口医院が目指すのはハイブリッドタイプ

当院としては、「どの医師が診ても、一定の質が担保される状態」を目指しています。

もちろん、100%同じにはなりません。ただ、特に緊急性の高い疾患については、誰が診ても大きく外さないラインは維持する。そのために、情報共有とすり合わせを行っています。

一方で、主治医の役割も重視しています。定期的なフォローで、背景や価値観を深く理解する。

この「個」と「チーム」の両立ですね。

正直に言うと、全員にとって最適な形ではないかもしれません。でも、長期的な安定性という観点では、合理的な構造だと考えています。

    (引用:漫画「ハイキュー」)

「この先生じゃないとダメ」その気持ちは、すごくよく分かります。ただ、少しだけ視点を変えると、「このチームなら任せられる」という選択肢も出てきます。

どちらが正しい、という話ではありません。

でも。自分は、江口医院のチームを信じていますよ。

もし自分が居なくても、あなたのためにベストを尽くしてくれるチームだと。

そのうち、「もう、キミは要らないよ」と言われるかも!?

そんなわけで人生って予測できないことが前提なので、“揺らぎに強い形”を持っておくのは、悪くないと思います。

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