不眠症は“寝る問題”じゃない?精神科ではない内科医が考える生活習慣と睡眠のリアル


「眠れない」って、本当に眠れてないですか?外来をやっているとですね、「先生、眠れないんです」っていう相談、けっこう多いです。

で、よくよく話を聞いてみると、まーいろんなパターンがあるんですよね。

・寝つきが悪い
・夜中に何回も起きる
・寝てるけど、すっきりしない

ただですね、ここで一つ、ちょっとだけ引っかかることがあります。

「それ、本当に“眠れてない”ですか?」

意外と多いのが、「眠れてはいるけど、満足していない」というケースです。これけっこうよくあるんです。

不眠症は“夜の問題”ではなく、“昼の過ごし方”で決まる

不眠っていうと、どうしても「夜どうするか」に意識がいきます。でも実際には、昼の過ごし方の影響がかなり大きいです。

例えばですね、

・夕方にうとうと寝てしまう
・コーヒーを夕方まで飲んでいる
・日中ほとんど動いていない

こういう状態だと、そもそも夜に眠くならないんですよね。

あともう一つ。「寝よう寝よう」と頑張る人ほど、逆に眠れなくなります。

ベッドの上で2時間ゴロゴロして、「今日も眠れなかった…」ってなる。これ、実際には4時間寝ていたとしても、“眠れなかった体験”として脳に残るんです。なので、ちょっと逆説的なんですが、「寝る努力をやめる」ことが大事だったりします。

現場で感じる違和感——「不眠」と言われるけど…

現場感覚としてですね、いわゆる軽い不眠の方って、実はけっこう多いです。

例えば、

・年齢的に必要な睡眠時間は満たしている
・でも若い頃と比べて「短い」と感じている
・寝ているけど「熟睡感がない」と感じている

このあたりですね。

睡眠時間って、年齢とともに自然に短くなります。若い頃と同じように寝ようとすると、むしろ夜中に目が覚めるんですよ。

あと、「熟睡感」についてもですね。これ、日中の過ごし方にかなり影響されます。

例えば、小学生のときにプールの授業があった日。あの夜、めちゃくちゃ気持ちよく寝れませんでしたか?あれ、結局は「しっかり疲れていた」からなんですよね。逆に、1日あまり動いていないと、寝ても回復した感じが出にくい。これを「眠れてない」と感じてしまう。

このあたり、結構ズレやすいポイントです。

不眠症の基本を、シンプルに整理すると

細かい分類はいろいろあるんですが、ざっくり言うとですね。

・他の病気(うつなど)に伴う不眠
・そうではない一般的な不眠

この2つがあります。

今回お話ししているのは、主に後者です。

で、ポイントを絞ると3つです。

1つ目。睡眠時間は人それぞれで、年齢で変わる
2つ目。ベッドは「寝る場所」に限定する
3つ目。眠れないときは無理に寝ない

特に2つ目ですね。ベッドでダラダラ過ごす時間が長いほど、「眠れない感覚」は強くなります。これを睡眠効率理論って言います。

例えばこんな方が来院されます

例えばですね。

40代の方で、夕方にちょっと寝てしまって、夜眠れない。これ、夕方の仮眠をやめるだけで改善することが多いです。

60代の方で、20時に寝てしまって、夜中の2時に目が覚める。これは単純に「早く寝すぎ」です。

30代の方で、寝る直前までスマホで動画を見ている。これは脳が休まらないので、まあ眠りにくいですよね。

一方でですね。

・気分の落ち込みが強い
・日中の活動が明らかに落ちている
・生活改善しても全く変わらない

こういう場合は、少し話が変わってきます。

まずは、どれか1つだけ変えてみてください

いろいろ言いましたけど、全部やる必要はないです。

むしろ、1つでいいです。

・朝、日光を浴びる
・昼寝は14時まで、20分以内
・15時以降はカフェインをやめる
・眠れなければベッドを出る

この中で、「これならできそうだな」というものを1つ。

感覚的にはですね、皆さんすでに6〜7割はできています。残りの2〜3割を調整するだけで、変わることは多いです。

当院の考え方——無理に薬は使いませんが、否定もしません

当院では、まず生活習慣の調整を優先します。

ただ、それでも難しい場合は、軽い睡眠薬を使うこともあります。あくまで「リズムを整えるための補助」としてですね。で、整ってきたら、少しずつ減らしていきます。

薬に関しては、依存や慣れの問題もあるので、そこは慎重に見ています。

精神科との役割分担について

生活習慣を調整しても改善しない場合や、症状がやや重い場合は、精神科の先生に紹介します。精神科って、ちょっと怖いイメージを持たれることもありますが、実際は睡眠に関して非常に専門性の高い領域です。

むしろ、ガイドラインに沿った安全な治療が行われていることが多いです。

予約が取りにくいという現実はありますが、必要な方には、きちんとつなぐべきだと考えています。

眠れない夜があっても、それは“異常”とは限りません

あの、毎日完璧に眠れる人って、そんなに多くないです。眠れない日があっても、それ自体は異常ではないですし、「治す」だけじゃなくて、「うまく付き合う」という考え方もあります。

薬を使うことも、使わないことも、どちらも選択肢です。

もし、「これどうなんだろう」と思ったら、生活のことでもいいので、気軽に相談してもらえればと思います。

全部じゃなくていいので、まずは一つだけ、変えてみてください。

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