ダイエットが続かない理由は“あなたの意思”ではありません ― 医師が考える肥満症外来のホントのところ
ダイエットで一番怖いこと、何ですか?
あの、ちょっと考えてみてほしいんですけど。ダイエットを始めるときに、一番怖いことって何でしょうか。
まー、「頑張っても痩せなかったらどうしよう」とか。「続かなくて、結局戻っちゃうんじゃないか」とか。あと、「きつい運動をやれって言われるんじゃないか」とかですね。
でも、外来で話していて一番よく聞くのは、そこじゃないんですよね。「医者に努力してないって言われるのが怖い」これ、結構多いです。なんかこう、「できてない=能力がない」みたいに言われる感じ。あれ、やっぱりプライドも傷つきますよね。
他には「ダイエットしてください(やり方は不明)」ってのも多いですね。というより自分も若い頃はアドバイスが足らない時期もあったと思います。
ダイエットは“短期イベント”になっていませんか?
これまでに何回ダイエットしましたか?って聞くと、多くの方が「何回もやってます」と答えます。で、ちょっと痩せて、戻って、またやって。
これ、すごくあるあるパターンです。
ただ、ここで一つズレがあって。ダイエットって、そもそも「期間限定のイベント」じゃないんですよね。
どちらかというと、体重のコントロール=生活のマネジメント、です。
時間がある時もあれば、忙しい時もある。その中で、作戦を立て直していく。
「終わりがあるもの」としてやると、必ずどこかで崩れます。
頑張る人ほど、失敗しやすいという現実
これ、少し厳しい?言い方になりますけど。ダイエットって、頑張りすぎると失敗します。
あの、全力疾走って長く続かないですよね。短距離ならいいけど、長距離は無理です。
ダイエットも同じで、100%の力でやると、どこかで反動が来るんですよ。
あともう一つ大事なのは、「意思の力」に頼ると失敗しやすいという点です。
意思って、消耗します。疲れてる日、ストレスがある日、時間がない日。そういう時に「我慢しよう」とすると、だいたい崩れます。
なので、意思ではなく「環境」でコントロールする。
例えば、
・食事の内容をある程度固定する
・食べる回数を決める
・高カロリーのものは週1回にする(マイルールはラーメンは週1回まで!)
こういう“ルール化”の方が、現実的にはうまくいきます。
医療としてのダイエットは、少し考え方が違います
よく「何kg痩せたいですか?」と聞かれますが、医療的にはあまりその聞き方はしません。基準になるのは「割合」です。
体重の約3%減。これだけで、脂肪肝や血糖値などが改善するデータがあります。
5kg痩せるかどうかより、「何%改善したか」の方が重要なんですね。
それから、よく聞かれるのが「運動と食事、どっちが大事ですか?」という質問。
これは結論がはっきりしていて、体重を減らすだけなら、食事が前提です。
運動はすごく大事なんですが、体重そのものを減らす効果は限定的です。ただし、健康状態の改善や見た目には大きく関わります。
運動は血圧の次に動脈硬化への影響が大きいですからね。
あと、情報の話も少し。
SNSやYouTubeにもダイエット情報はたくさんありますよね。あれ、全てが間違っているわけではないですが…。ただ、「どれくらいの人に再現できるか」という視点が抜けやすい。医療では、ガイドラインといって、成功率や再現性を重視したデータを使います。その違いは、結構大きいです。
例えばこんなケースです
あるところに……30代の会社員の方で、一人暮らしを始めてから体重が増えた、という方がいました。学生の頃は給食や家のご飯でバランスが取れていたのが、社会人になって一気に崩れたんですね。
自己流で食事制限をして、一時的には痩せる。でも、忙しくなると戻る。これを何回か繰り返していました。
そこでやったのは、シンプルで。
・食事のパターンを固定する
・週に1回だけ好きなものを食べる
・体重を毎日測る
これだけです。
結果として、緩やかに体重が落ちて、そのまま維持できています。特別なことはしていません。
頑張らないための工夫をいくつか
あの、ダイエットで大事なのは「頑張ること」ではなくて、「頑張らなくても続く仕組み」を作ることです。
繰り返しになりますが、例えば、
・食事をある程度ルーチン化する
・夜更かしを減らす(起きてると食べます)
・ストレスの発散方法を食事以外に持つ
このあたりは、地味ですけど効果があります。あと、体重はこまめに測った方がいいです。行動が変わります。ダイエットの行動療法ってやつですね。
当院の考え方について
当院では、ダイエットを「美容」ではなく、あくまで「健康管理」として考えています。ガイドラインをベースにしながら、その人の生活に合わせて調整していく。
食事が得意な人もいれば、運動が得意な人もいるので、そこは個別に見ていきます。
薬についても選択肢にはなりますが、あくまで補助です。体重の減少効果は限定的です。(人によってはぐーんと痩せる人もいますが…)それだけで解決するものではない、という前提で使います。
あと、これは個人的なスタンスですが、「努力してないですね」とは言いません。それで解決する問題ではないので。
最後に
ダイエットって、「何kg痩せるか」という話になりがちなんですが、本当は、「どうやって生活を整えるか」の話です。短期間で変えるものではなくて、長く付き合っていくもの。
なので、もし今うまくいっていなくても、それはやり方の問題であって、能力の問題ではないです。
まー、ちょっとやり方を変えるだけで、結果は変わることもあります。必要であれば、一緒に整理していきましょう。
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