さいてき王に俺はなる!
さいてき王ならぬ、 再適応(ダジャレです)。つまり今回はリハビリテーションについてのお話です。ビジネス用語や心理用語ではレジリエンスとも言えるのではないでしょうか。ワンピースが長すぎて読むのを諦めた私はレジリエンスがたりないのかもしれませぬ。
私自身がさいてき王だなぁと思っている人がいます。車椅子テニスの国枝 慎吾選手です。いや、まさしく王。Wikipediaによると脊髄腫瘍から下半身麻痺に至ったとのこと。素晴らしい選手であることは勿論、素晴らしい人だなと思います。会ってみたい。テニスで対戦して、ぼこぼこにやられてみたい。
さて、本題。先日、改めてリハビリテーションについて学ぶ機会があり、改めて「リハビリテーションとは何か」を考える時間を持ちました。語源はラテン語の habilitare(適する)に「再び」を意味する re- がついた言葉で、「再び適応すること」が本来の意味です。つまり、麻痺や障害を元に戻すことではなく、健康状態に問題のある方が、その人にとって最適に生活できる状態を目指すことがリハビリテーションの本質です。
リハビリテーションというと、「正常の状態に戻す」イメージをもたれている人も多いようです。その欲求は否定はできませんが、本当の意義は再適応です。ここがポイント。
佐賀記念病院の回復期リハビリテーション病棟でも勤務させてもらった経験が自分のリハビリテーション医学の基礎です。脳卒中、腰椎圧迫骨折が主体だった記憶があります。初期は誤嚥性肺炎もリハビリテーションの適応でしたが、途中で制度が変わったんだっけ?
現在、当院で関わるリハビリテーションは生活期が中心です。リハビリテーションも段階があり、急性期、回復期、生活期にわかれます。昔は、維持期と言われていましたが、最近では生活期リハビリテーションと言われています。生活期という言葉は二木立先生の文献で知りました。
状況に合っていないリハビリテーションは効果半減!?
生活期リハビリテーションでは、特に自己管理の重要性が強調されます。「おまかせ~(どんだけ~的)」では効果がでません。医療者が行うのはあくまで「支援」であり、本人が主体的に運動や生活動作を継続できるように環境を整えたり、動機付けを行ったりすることが大切です。自己管理能力を育てることで、回復期のリハビリが終わった後も、自宅で安全かつ効率的に生活を維持できるようになります。生活期で回復期のリハビリテーションを提供していても効果は不十分です。
私が関わる患者さんは、50〜60歳の脳卒中による片麻痺の方々です。認知症はなく、判断能力も保たれているため、一般的なデイサービスはあまり好まれません。(デイサービスは認知機能を刺激するサービスで大切ですよ)しかし、地域の通所リハビリテーションや、おそえがわ脳神経内科さん、佐賀中部病院さん、信愛整形外科さんどの医療機関と連携することで、患者さんが自宅で生活を続けながらリハビリを継続できる体制を整えています。こうした支援により、日常生活動作を取り入れた運動や活動が自然な形でリハビリにつながります。
通院ができなくなったパーキンソン病の患者さん達は通所リハビリから、訪問診療と訪問リハビリに移行していきます。ここで在宅医療として関わりが出ることがあります。
リハビリの評価指標としては、FIM(Functional Independence Measure)、Barthel Index(BI)、MMSEなどがあります。これらは、生活動作や認知機能の改善度を簡単に確認するために使われています。生活期リハビリでは、数値で一喜一憂するのではなく、あくまで本人の生活の中での変化を確認するツールとして活用しています。生活期ではあまり評価をしないことが多いですね。なんとなく介護度でイメージが持てることが多い印象です。
こちらの指標は脳卒中などのリハビリがイメージしやすい病気以外の老年期の生活状況の評価としても使いやすい内容ですからお勧めです。
FIM(Functional Independence Measure):厚生労働省の参考PDFへ飛びます。
治療や運動の具体例としては、在宅でのバランス訓練や筋力訓練が挙げられます。例えば、片脚立位や椅子立ち上がり練習を日常生活に組み込むだけでも、立位保持や歩行能力の維持に効果があります。高齢者を対象とした研究では、グループでの複合運動により転倒率が29%低下し、在宅で同様の運動を行った場合は32%低下したという報告があります。(転ぶのを0%には出来ないんですよね)
マッサージ関係は筋萎縮、関節拘縮に限定して診断書を書いています
また、鍼・灸・あんまマッサージは、神経痛や関節拘縮、筋萎縮などの改善を目的として生活期リハビリに取り入れることがあります。こちらの物理療法は医療機関によって対応が異なります。当院では、筋萎縮、関節拘縮に限定しています(混合診療などに対応するため)。
拘縮治療
拘縮治療では、ボツリヌス毒素療法や自主トレーニングを組み合わせることで、関節可動域の維持や改善を目指します。これらも、あくまで本人の生活動作を支える補助として位置づけています。ポイントは「自主」トレーニングですね。拘縮があり、かつ自主トレができる患者さんは限定的です。
運動や活動の負荷は段階的に設定しています。最初は怪我防止やモチベーション維持のため軽めに設定し、徐々に負荷を上げていきます。日常生活そのものをリハビリと捉え、料理や掃除、ガーデニング、庭仕事なども運動として取り入れるよう指導しています。こうした取り組みを通して、患者さんが主体的に生活を営むことが、最も効果的な生活期リハビリと言えるのではないかと考えています。
ただ、ガーデニングは…皆腰が痛くなる…けど、精神的にも良さそうです。草むしりはマインドフルネス的な効果やフロー状態を作る効果があるのではないかと個人的な仮説を持っています。
保険
医療保険は、生活期リハビリでは難病に限られることが多く、通院可能なパーキンソン病患者さんは専門医療機関で対応しています(佐賀リハビリテーション病院さん、おそえがわ脳神経内科さんが多いですね)。しかし、通院が困難になった場合は在宅支援を当院で提供し、訪問リハビリと協働して体力を維持しています。必要に応じて、身体障害者手帳の申請支援も行い、地域での支援を受けやすくしています。
ということで
生活期リハビリテーションでは、医療者が提供する「回復」だけでなく、患者さん自身が生活の中で運動や「自己管理」を継続できることが重要です。そういう意味では認知機能も併せて低下していくと自主性が乏しくなるので、生活期のADLは維持できず低下することが多いですが仕方がないです。
生活期では医療提供者は背中を押すことは出来ても、当事者にはなれないんですね。
まさに運動や自己管理の賜物でしょう、国枝選手の活躍は。障害があっても可能性はまだまだあると感じさせられる姿に希望を抱いてしまいます。回復期リハ病棟での経験を活かし、患者さんが自宅で安全かつ自立した生活を続けられるよう、可能性に希望を持ちつつ、地域の医療機関と連携しながら支援していきたいと考えています。
コメント
コメントを投稿