ドクターサロン10月号の注目ポイントと当院の取り組み:高齢認知症患者と骨粗鬆症治療に対するアプローチ

認知症や骨粗鬆症は、高齢者にとって重要な健康問題です。ここでは、江口医院の視点から、それぞれの疾患に対する最新の知見と治療方針について詳しく解説します。認知症患者やその家族、また骨粗鬆症のリスクがある方にとって参考になるような内容をお届けします。

認知症治療におけるアプローチ

認知症の治療は、患者の生活の質(QOL)を維持するために非常に重要です。江口医院では、まず患者さん一人ひとりの症状や生活環境を把握し、適切な治療方法を選択しています。コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンといった薬剤も、状況に応じて慎重に使用します。

  • コリンエステラーゼ阻害薬の使用
    85歳以上の患者さんに対しては、コリンエステラーゼ阻害薬の効果が副作用を上回らない場合が多く、副作用のリスクも高まります。例えば、食欲不振が生じると、高齢でフレイルや廃用症候群のリスクがある患者にとって致命的になる可能性があり、江口医院では慎重な投与判断を行っています。

  • 薬剤の選択基準
    活動性の向上が目的の場合にはドネペジルを、感情の安定を図りたい場合にはメマンチンを使用しますが、常に診断を優先し、患者に最も適した治療を選択しています。

  • 周辺症状(BPSD)への対応
    認知症に伴う周辺症状(BPSD)には、ユマニチュードを基にしたアプローチを採用しています。施設での対応は、その施設のキャパシティやケアスタッフの能力・性格にも影響されます。江口医院では、「患者さんが不安にならず穏やかにすごすことができる」「共同生活ができる」「できるだけ少なめに、副作用がないものから」をコンセプトに対応しています。

骨粗鬆症の治療と予防

骨粗鬆症は、骨折のリスクを高め、生活の質や日常生活動作(ADL)にも大きな影響を与えます。江口医院では、患者の薬歴、骨折歴、嚥下機能、歩行状態などを総合的に確認し、ガイドラインに沿って治療を行っています。

  • 薬剤選択と高齢者施設での課題
    プラリアやテリボンは骨粗鬆症治療薬の中でも効果が期待できる反面高額です。しかし、ビスホスホネート製剤は、嚥下機能が低下している場合や長期間の使用歴がある高齢者には不向きなため、施設内での管理が困難な場合があります。江口医院では、こうした要因を考慮しつつ、患者のQOL向上のため積極的に治療を行っています。

  • 骨粗鬆症の早期発見と予防
    軽微な骨折や身長の縮小が見られた場合には、骨密度のチェックを推奨しています。また、カルシウムやビタミンDが豊富な食品、特に乳製品や豆腐・納豆、魚肉などの摂取を高齢者に推奨し、骨の健康をサポートします。

  • 運動の重要性
    骨粗鬆症の予防には適度な運動も効果的です。患者には、ウォーキングを始めとした持続可能な運動習慣を身に付けるように指導しています。特に膝関節に負担がかかる場合には、水中歩行なども勧めています。

認知症と骨粗鬆症のリスク低減のためにできること

江口医院では、認知症と骨粗鬆症の早期発見と予防に力を入れています。中年期の高血圧症や糖尿病の管理、節酒、適切な栄養管理と運動習慣は、認知症リスクを低減するために有効です。また、老年期に入ると、転倒防止や社会参加、認知的活動が推奨されています。


江口医院のサポート内容

江口医院では、認知症や骨粗鬆症の治療を通じて地域の高齢者を支えています。

  • 認知症
    発症予防や診断、介護保険の導入支援、訪問診療など、多岐にわたるフェイズで関わり、患者と家族の生活をサポートしています。

  • 骨粗鬆症
    初期から中期にかけては整形外科との連携を重視し、転倒や骨折が進行した患者には訪問診療で治療を継続しています。

認知症や骨粗鬆症に対する包括的なケアに興味のある方や、予防や早期発見の重要性について知りたい方は、ぜひ江口医院までご相談ください。

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