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10月, 2025の投稿を表示しています

うんこで死ぬ -死亡リスクが上昇する便秘に対する正しい排便ケア-

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便秘は「命に関わる」症状です 便秘は「よくある不調」「恥ずかしいから言わない」という人がいますが、最新研究では、便秘が 長期的に死亡リスクを上昇させる ことが示されています。 ・有病率は 7人に1人(約14%):皆の悩みですね。 ・便秘が続く人は、15年間で 死亡リスクが 23% 上昇: 自分は体力低下→便秘→死亡リスクかもと疑っています。根本は体力低下かもしれません。 ・排便回数が「4日に1回以下」では 心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中)リスクが 1.4倍 便秘は「不快症状」ではなく 生命維持に関わる問題 です。いやでも、まずはいま不快ですからどうにかしたいですよね。 便秘の定義 便秘とは 本来体外に排出すべき便を「十分量」かつ「快適に」排出できない状態 を指します。 ポイントは回数ではなく 質 です。 ・毎日少しだけ出ている → 便が残っていれば便秘 ・いきまなければ出ない → 排便障害 ・適度に溜まってから、楽に出るのが理想 便秘とは 「出ていない」ではなく「出しきれていない」状態 と考えます。 排便評価の基本:まずは状態を見極める 排便支援には、以下の情報が必須です。 ・排便回数 ・便の硬さ(ブリストル便性状スケールを使用:Bristol Stool Form Scale:BSFSって略するとなんとなく中2的にイケてる感がするな…) ・いきみ、痛みの有無 ・直腸診で、便が直腸にあるかどうか 多くの便秘は、薬を出す前に「便がどこにあるのか」を確認することが重要です。 新しい選択肢:直腸エコー 直腸診がためらわれる場面では、 直腸エコー(超音波) が有効です。結構なトレンドワードで、看護師さんがすることを想定しているようです。 ・プローブを軽くお腹に当てるだけ ・直腸内に便があるかを 非侵襲的に 判断できる ・硬便かどうかもイメージで把握できる 直腸診が心理的にハードルが高い患者さんにとって、 直腸エコーは負担の少ない評価方法 です。ご希望があれば院長まで。 排便支援プロトコル 排便がないときは、次の順序で判断します。 直腸診または直腸エコーで便の位置と硬さを評価する 直腸に硬い便があれば ・先に便を取り除く ・グリセリン浣腸、レシカルボン坐剤を使用 直腸に...

医師が説明不足になる理由とは?

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医師と患者のコミュニケーションにおいて、しばしば患者さんは「説明が足りない」と感じられることがあります。逆に、「色々言われたけどよーわからんかった」もあります。どちらも説明不足に感じますよね。 患者側が納得できないまま、治療に進むのは不安が残ります。しかし、実は医師が意図的に説明を控えることには、いくつかの理由があることも。それらを理解することは、患者さん自身の安心感や信頼につながるかもしれません。 1. 「診断が確定していないから」 診察を受けた際、最初に「これが病気です」と断言されることが少ないのは、その病気の診断が確定していないからです。医師は最初に疑わしい症状を挙げ、必要な検査を進めていきます。確定診断を下す前に早急な情報提供をすると、後に診断が変わった場合に混乱を招きかねません。 特に医師の仕事は、診断に至るまでの過程に時間を要する場合が多いため、診断が確定しない段階での説明は慎重に行われます。このため、最初の説明は、どうしても抽象的なものになりがちです。 可能性があるAとBいう病気について説明すると、患者さんはだいたい混乱します。情報は過多なのに説明は不足しているんですね。 医療には「鑑別診断」という考え方があります。病気が疑われた場合、それが何か特定の病気か、あるいは他の可能性も考慮する必要があります。この過程では、最初の段階での説明はどうしても不完全になりがちです。特定の病名を即座に伝えるのではなく、他の病気の可能性を考慮した上で最適な治療方法を選んでいきます。 そのため、診断が確定しない段階では、患者さんに十分な説明ができないことがあるのです。と、いうことでよく使うフレーズとしては、「Aという病気について治療しているが、αという症状が出てきたら診断を見直す必要がある」ですね。 2. 「患者さんに与える情報の量の問題」 先程の話につながりますが、医師が説明を控える理由の一つに「情報量の調整」があります。病気の説明をする際に、どの情報をどれだけ伝えるかは非常に難しい問題です。たくさんの情報を詰め込みすぎても、患者さんがすべてを理解できないことがありますし、逆に必要な情報を省くと説明不足だと感じられることもあります。 医師が説明を控えるのは、患者さんにとって最も必要な情報を、適切なタイミングで伝えるためでもあります。情報が多すぎると混乱を招き...

さいてき王に俺はなる!

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さいてき王ならぬ、 再適応(ダジャレです)。つまり今回はリハビリテーションについてのお話です。ビジネス用語や心理用語ではレジリエンスとも言えるのではないでしょうか。ワンピースが長すぎて読むのを諦めた私はレジリエンスがたりないのかもしれませぬ。 私自身がさいてき王だなぁと思っている人がいます。車椅子テニスの国枝 慎吾選手です。いや、まさしく王。Wikipediaによると脊髄腫瘍から下半身麻痺に至ったとのこと。素晴らしい選手であることは勿論、素晴らしい人だなと思います。会ってみたい。テニスで対戦して、ぼこぼこにやられてみたい。 さて、本題。先日、改めてリハビリテーションについて学ぶ機会があり、改めて「リハビリテーションとは何か」を考える時間を持ちました。語源はラテン語の habilitare (適する)に「再び」を意味する re- がついた言葉で、「再び適応すること」が本来の意味です。つまり、麻痺や障害を元に戻すことではなく、健康状態に問題のある方が、その人にとって最適に生活できる状態を目指すことがリハビリテーションの本質です。 リハビリテーションというと、「正常の状態に戻す」イメージをもたれている人も多いようです。その欲求は否定はできませんが、本当の意義は再適応です。ここがポイント。

学生も教員もタイパが大切 地域医療実習ミーティングに参加して感じたこと

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昨日は、佐賀大学の地域医療実習ミーティングに参加してきました。 今回のテーマは、医学生が地域で学ぶ8週間の実習について。かつては2週間ずつ、大学病院と地域病院に分かれていたものが、今年度からすべて地域での実習になったそうです。背景には、厚生労働省の方針転換と、地域医療を担う人材をより実践的に育てたいという大学の意図があります。 昔は佐賀記念病院の時に実習担当者として学生を教えていましたので、なんとなく状況はわかります。 熱男 会の冒頭で感じたのは、山下先生(臨床実習コーディネーター)の熱量! 教育の現場を本気で変えようとする姿勢、学生に「地域で生きる医療」を体験してほしいという思いが、言葉の端々から伝わってきました。 参加型の実習、つまり 「見学ではなく現場で動く」 ことが求められている――その空気を、会場全体が共有していたように思います。 やれるのか!? 一方で、クリニックの立場から考えると、現実的な課題も見えてきます。 教育には時間も人も必要です。 医師やスタッフが学生に関わるほど、当然ながらリソースは削がれますし、オペレーションの効率(タイパ)との両立も課題です。学生もタイパを考えていれば、教員もタイパを考えています。お互い忙しい…。 患者さんの待ち時間が延びたり、採血などの実技で安全面に気を遣う場面も出てくる。 私自身、会議の中ではつい「難しいのでは」と慎重な意見を述べた部分もありました。というより、難しいよね…を連呼していました。あぁ、ポジティブにいきたい…。 しかし、それでもやはり教育の力は大きいと感じています。 学生が現場に入ると、スタッフの姿勢が変わります。 「教える立場」に立つことで、いつもの業務にも新しい緊張感と誇りが生まれます。 また、実習を通して若い医師とつながることは、地域にとっての未来投資でもあります。 医師が足りない時代だからこそ、地域で育て、地域に根ざしていく流れを作ることが大切だと思います。 タイパ(タイムパフォーマンス:時間あたりの効率性) 江口医院としては、「タイパの良い教育」、つまり効率的で現実的な教育の形を模索したいと考えています。 たとえば、問診の補助や心電図の取得、電子カルテの記録補助(いわゆるシュライバー的な役割)など、患者さんの安全を守りながら学びが得られる方法。 そうした実践の積...

佐賀大学での在宅医療講義を通じて感じたこと — 地域医療教育に携わる想い

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先日、佐賀大学より在宅医療に関する講義の依頼を受け、当院院長が総論を担当しました。地域医療に携わるクリニックとして、大学教育に関わる機会は大変貴重であり、今回の講義を通して、私たちの取り組みや在宅医療の重要性を改めて確認することができました。 講義は訪問診療をテーマにした初めての内容で、所要時間は60分、スライドは約50枚を使用しました。対象は医学部の学生さんで、総論を中心に講義する形をとりました。 Q&A:講義の背景と準備 Q: 今回の講義を依頼された経緯は? A: 「大学経由で依頼がありました。これまでは開業医のキャリアパスについて講義することはありましたが、訪問診療をテーマに講義するのは初めてです。講義では、総論中心で、よくあるパターンを学生に伝えることを意識しました。」 Q: 準備はどのように行いましたか? A: 「在宅医療の重要なポイントや基本的な知識についてはAIに整理してもらいました。一方で、心理面や生活面、患者さんの医療以外のニーズに関しては私自身が加筆しました。AIの整理と私の経験を融合することで、学生が理解しやすい講義資料を作ることができました。」 Q: 学生の反応はいかがでしたか? A: 「質問は特にありませんでしたが、戸惑った表情で考え込む学生もいました。実際の患者さんとのやり取りや言葉にすると、興味を持ったようで、まなざしがこちらに向けられました。また、講義で提示したQRコードを数人の学生さんが写真に撮る様子もあり、関心を示してくれたことを感じました。」 在宅医療の核心:医療とケアの両立 Q: 学生に伝えたいことは何ですか? A: 「在宅医療は、医療だけでは成り立ちません。医療とケアの両立が非常に重要であり、場合によってはケアを優先する価値観を持つことも大切です。特に病院中心の教育を受けた学生さんは、医療ベースで頭が固まりがちです。『ケアが患者の生活や満足感に直結する』ということを理解してほしいと思います。」 Q: 具体的なケースはどのようなものですか? A: 「講義では、よくあるパターンを紹介しました。たとえば家族の介護疲れや、患者さんや家族が困惑しやすい状況です。こうした場面で、医療だけではなく、生活支援や心理面への配慮が必要であることを理解してもらうことが目的です。」 講義の中で感じたこと 講義を通して、...