「在宅緩和ケア充実診療所」に登録されました!

地域医療の新たな一歩:在宅緩和ケアの進化

このたび、当クリニックは「在宅緩和ケア充実診療所」として正式に登録されました。「在宅緩和ケア充実診療所」の登録を受けるにあたり、一定の準備が必要でしたが、それを乗り越えることで、一定の量と質の緩和ケアの提供をしてきたという実績が認められたことは嬉しく思います。

地域の患者さんにより質の高い医療を提供できる環境を整えることができたと感じています。これにより、地域の患者さんにさらなる高品質な医療サービスを提供する準備が整いました。本記事では、この登録の意義と当クリニックの取り組みをご紹介します。


1. 在宅緩和ケア充実診療所とは?

「在宅緩和ケア充実診療所」とは、自宅で療養する患者さんに対し、痛みや症状の緩和を目的とした質の高いケアを提供する診療所のことです。登録されるには、一定の基準を満たす必要があります。当クリニックでは、看護師の訪問ケアや医師との連携を強化し、患者さんのニーズに応える体制を整えてきました。

なぜ「在宅緩和ケア充実診療所」という制度が必要なのか?

近年、自宅で家族と過ごしながら最期を迎えたいと希望するがん患者さんが増えています。しかし、実際には自宅で亡くなる方の割合は大きく変わっていません。
その背景には次のような課題があります:

  1. 切れ目のない在宅医療体制が不足している
    入院と在宅医療の間でスムーズな連携が取れていないため、患者さんやご家族が不安を抱えることがあります。
  2. 緩和ケアの知識や技術の不足
    在宅医療を支える医師や看護師の中には、がん患者さん特有の痛みや症状に対応する専門的な知識が十分でない場合があります。

これらを解決するために「在宅緩和ケア充実診療所」という仕組みが生まれました。

「在宅緩和ケア充実診療所」って何?

「在宅緩和ケア充実診療所」とは、自宅で過ごすがん患者さんが安心して医療を受けられるようにするための特別な制度です。この診療所では、患者さんとそのご家族に寄り添い、以下のような特徴を持っています:

  1. 24時間対応の体制
    夜間や休日でも往診が可能です。ただし、救急車のようにというより、慢性期の病棟に近いスピード感になります。しかし、当院では事前の処方で9割が対応が可能で、出血や呼吸苦などに対しては可能な限り迅速に対応しています。
  2. 高い看取り実績
    最期を自宅で迎えることを支援し、その実績を持つ医療機関です。
  3. 専門的な緩和ケア
    痛みや不安を和らげる緩和ケアを提供できます。適切な薬の使用や症状緩和の技術が提供されます。しかし、一部の患者さんで困難な症例や病状があります。その場合は、緩和ケア病棟と連携して対応します。

在宅緩和ケアの特徴と課題
当クリニックの在宅緩和ケアは、地域の患者さんに寄り添い、外来では対応できないケアを行っています。特に訪問看護師のケアが重要な役割を果たしており、疼痛管理や薬の調整、患者さんの状態観察を行ってくれています。

ケアマネージャーさんにとっては悪性腫瘍の対応は難しいのではないかと推測しています。訪問看護ステーションと連携し、患者さんとその家族にとって最適な医療と生活支援を提供することが重要です。また、家での療養を選択される患者さんが後悔しないように、サービスを計画的に提供する必要があります。特にがん患者さんの場合、体力の低下が予測よりも早く進むため、早めの支援が欠かせません。それは一見無駄に見えてしまいます。先を見越すことが、患者さんや家族に取ってストレスであることもあり、一定数は後手に回ることもあります。


在宅緩和ケアの重要性

高齢化が進む中、自宅で最期を迎えたいと希望される方が増えています。当クリニックでは、患者さんやその家族に安心感を提供しながら、生活の質(QOL)を高める医療を目指しています。特にがん患者さんにおいては、早期からの計画的なケアが重要です。

在宅緩和ケアと緩和ケア病棟への入院の違いについては先日のブログにも記載したとおりです。(佐賀県緩和ケア地域連携カンファレンスに参加して(その2) 在宅医療と緩和ケアの両立)一つ、書き忘れていた点があります。それは、医療費についてです。医療費は原則在宅医療の方が安いことが多いです。それは高額療養費の制度上、在宅医療が外来扱いになっているからです。通常の収入の方以外は通常在宅医療の方が緩和ケア病棟への入院よりかは低くなります。ただし、介護保険で負担する割合を考えたり、入院だと個室代や食事代なども考える必要があります。


デジタル技術を活用した未来の緩和ケア

今後はオンライン診療や遠隔モニタリングを活用し、患者さんと医療スタッフの負担を軽減する取り組みを進めていきます。また、地域医療機関との連携を強化し、患者さんを地域全体で支える仕組みを構築することを目指します。
ただ、身体診察には医学的な意義を超えるものがあるとも信じています。是非、A doctor's touch(Abraham Verghese氏)というTEDを見てほしいのです。英語が苦手なかたは「医師の手が持つ力 エイブラハム・バルギーズ」でググると良いですよ。


在宅緩和ケアをお考えの方へ

「自宅で療養を続けられるか不安」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。当クリニックは、地域のみなさんが在宅で出来るだけすごしたいと考えた時の選択肢になれれば良いと考えています。
勿論、在宅緩和ケアはクリニック1つではできません。ケアマネージャー、訪問看護ステーションなど各機関と連携し、より良いケア、医療を提供したいと思っています。


まとめ

「在宅緩和ケア充実診療所」としての登録は、地域医療における新たな一歩です。当クリニックでは、これからも患者さんに寄り添いながら、地域に必要なより良い医療を追求してまいります。

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