ケアマネージャーとの連携を考える:院内勉強会からの学び


先日、開催されたケアマネージャーの講義に参加しました。この勉強会では、ケアマネージャーの業務内容や日々の取り組みについて学ぶ機会を得ました。以下は、勉強会を通じて得た印象深い点や新たな発見についてのまとめです。

印象に残った点

ケアマネージャーの専門性と課題

ケアマネージャーが提供するサービスの多様性と、その業務の幅広さに改めて驚きました。特に、地域の高齢者や家族を支える「シャドウワーク」が非常に多いことが印象的でした。民生委員や家族では対応しきれない部分をケアマネージャーが担い、まさに「便利屋」のような役割を果たしている現状が浮き彫りになりました。これで良いのかは議論が必要ですし、厚生労働省も問題視しています。(シャドーワークの統計やアンケート調査が既に取られています)また、病院やデイサービスがそれぞれ明確な役割を持つ中、ケアマネージャーだけが「便利屋」として多岐にわたる業務を担っている点に課題を感じました。この役割がなければ、現実的にサービス提供が難しい一方で、業務過多になっている現状も見えました。

ケアマネージャーの教育プランが進化している点にも注目しました。従来は利用したいサービスが先行する形でプランが組まれることが多かったのに対し、これからはアセスメント(評価)を重視し、個々の状況に合ったプランを策定する方法が普及していくのではとのことでした。これにより、サービス選択がより適切かつ効果的になっていると感じました。一方、自前のサービスを前提とした囲い込みが難しくなりそうです。ただし、地方ではそもそも選択肢が少ない可能性もあります。

ケアマネージャーとの連携で重要なポイント

よくケアマネージャーとの調整するのは、訪問診療日の調整です。医療と介護サービスの重複を避けるため、訪問診療日が変更される場合には、他の介護サービスのスケジュールも再調整が必要です。また、訪問ヘルパーの不足も深刻で、スケジュールを組む際にヘルパーの都合を優先せざるを得ない状況も多々あります。

さらに、情報共有のあり方も重要です。ケアマネージャーが伝言役となる場面では、ケアマネージャーを挟まず、担当する部署同士が直接的な情報交換を行うことが効率的であると感じました。

今後の活用方法と期待

今回の勉強会を通じて、介護ニーズの拾い上げや他職種との連携を一層意識する必要性を感じました。医療と介護が密接に関連する時代において、ケアマネージャーとの信頼関係を築くことが患者や家族の生活の質を向上させる鍵となります。

また、ケアマネージャーへの期待として、利用者の意思を尊重した意思決定支援を挙げたいです。サービス選択や療養場所の決定において、利用者本人の価値観を最優先に考え、強引な誘導がないようにしてほしいと思います。たまに「行き詰まって入院させてください」と言われる方もおられますね(ケアマネージャーだけではなく、医者、訪問看護も家族もですが)。療養環境の調整においてレスパイト入院などグレーゾーンが存在する場合、医療と介護が連携して取り組む必要性を強く感じました。

次回のテーマ案

次回の勉強会では、具体的なケアプランの立て方について深く学ぶ機会を期待しています。また、疾患別のアセスメントや科学的根拠に基づくサービス提供の工夫についても聞いてみたいですね。難しい事例や複雑な感情が絡むケースについてディスカッションする場があると、さらに学びが深まると考えます。

医療と介護の共存への期待

医療がどれほど進んでいても、基本的な生活が整っていなければ患者の満足度や幸福感は向上しません。医療と衣食住を支える介護の両輪が重要であることを再確認しました。ケアマネージャーの仕事はまさに生活を支える基盤を構築するものであり、その尊さを改めて感じました。

今回の学びを通じて、今後の診療や連携にさらに活かしていきたいと思います。

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