若手医師のキャリア振り返り会に参加して感じたこと
先日、佐賀大学総合診療部で開催された「若手医師のキャリア振り返り会」に参加しました。この会は、研修医や若手医師たちが自身のキャリアを振り返り、今後の進路や目標を見つめ直す機会として行われています。医師2年目から5年目くらいまでの先生方が参加し、それぞれの経験や考えが共有されました。この医師の期間を専攻医と言います。研修医と指導医の間ですね。
専門医取得の道のりと課題
特に印象的だったのは、内科専門医取得のために必要な「症例登録と考察」に関する意見交換です。このプロセスは、登録する症例数が増加しているため、以前よりも大変になっていそうです。例えば、かつては25例程度だった症例登録が現在では50例以上必要であり、それに伴うレポート作成や考察の時間確保が難しいようです。
さらに、若手医師たちは夜勤や救急対応に追われる中で、研究や症例考察の時間を確保する難しさがあるのではないかと思います。少し時間が空いても、病棟から電話がなって集中できないことは自分もありました。集中してきたー!と思ったら、熱発のコールや病状説明依頼があるんです。こうやって第一領域(重要かつ緊急)の仕事に押しつぶされて、第二領域(重要だが急がない)に時間が割けないことは問題です。こうした状況に対し、上級医が臨床現場から離れる時間を若手医師のためにサポートし、研究や振り返りの時間を確保する仕組みづくりがあっても良いのかもしれません。
そういった時間を大学病院で取ることは良いことだと思います。大学病院は論文や研究資料へのアクセスのしやすさが開業医より段違いに良いです。一方で、開業医になると、そのようなリソースが限られているため、情報収集が難しくなるという現実があります。このような点から、定期的に大学病院での研究時間を確保する仕組みや、リソースの共有ができる環境は重要ではないかと考えています。
自身のキャリア振り返り
今回の会を通じて、私自身のキャリアを振り返る機会となりました。私は跡継ぎとして自然な流れで開業医の道を選びましたが、各専門科の最先端医療だけではなく、基礎となる病態をもっと勉強していれば良かったという後悔もあります。また、家庭医療学との出会いが私の価値観を大きく変え、高齢化社会におけるその有用性を強く感じています。家庭医療学は臨床医学の基礎だと思っていますので、専門医に進む先生、研修医の先生にもお勧めです。医療現場での挑戦と目標
医療業界の中で最も挑戦的だと感じるのは、地域医療における時間や資源の確保です。以前と比べると格段に地域医療実習を行う時間が医学生、研修医ともに増えています。当院でも時期は未定ですが受け入れる予定です。しかし、物理的なスペースや十分なサポートが不足している現状が課題として挙げられます。
若手医師へのメッセージ
これから医師としてのキャリアを築いていく若手の皆さんに伝えたいのは、日々の経験を振り返り、自身の成長を確認する時間を大切にしてほしいということです。忙しい日々の中でも、振り返ることで新たな発見や改善点が見えてくるはずです。
論語に「吾日三省吾身(吾れ日に吾が身を三省す)」という言葉があります。人のことや世の中のことをとやかく言う前に、自分はどうなんだと度々振り返ると言う意味だそうです。
おわりに
今回の振り返り会を通じて、若手医師たちの努力や課題を肌で感じることができました。医療の現場は日々進化していますが、患者さん一人ひとりに寄り添う姿勢を忘れずに、共に成長していければと思います。
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