ドクターサロン8月号の学び:睡眠時無呼吸症候群、こむら返り、サルモネラ菌について
毎月楽しみにしている「ドクターサロン」ですが、2024年8月号も非常に実践的で役立つ情報が多く含まれていました。特に私が注目したポイントをいくつかご紹介します。
1. 睡眠時無呼吸症候群と年代別有病率
今回の記事で最も驚いたのは、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が年代によってもリスクが変わるという点です。これまでの研究では、BMIが25を超えるとSASのリスクが顕著に増加することは広く知られていましたが、高齢者ではさらに興味深いデータが報告されています。70歳以上ではBMIが22.5〜25の範囲内でもSASが発症するリスクが高まるということです。思わず元の文献を孫引きして図を手に入れてしまいました。
この発見は、高齢者の健康管理において非常に大切です。BMIが25以下であっても、70歳以上の患者に対してはSASのスクリーニングを検討するべきだと感じました。もしかすると高齢者の不眠の訴えの中には、結構SASが混じっているのかもしれません。実際、当院でも高齢の患者には睡眠に関する問診をより注意深く行い、必要に応じて検査を勧めていきたいと考えています。
2. こむら返りの治療とメカニズム
こむら返りは、プライマリ・ケアで非常に頻繁に見られる症状の一つであり、特に夜間に突然足がつるといった患者さんからの相談が多く寄せられます。しかしながら、こむら返りのメカニズムには未解明の部分が多いです。
記事によれば、カルシウムの欠乏が関与している可能性が示唆されており、治療法としては芍薬甘草湯がよく知られています。さらに、ビタミンBやマルチビタミン、カルシウム拮抗薬なども効果があるかもしれないとのことです。
当院でも、こむら返りに悩む患者さんにはまず芍薬甘草湯を提案していますが、低カリウム血症を持つ方にはさらに慎重な対応が必要です。この場合は四物湯に切り替えるのも一つの手段であると提案がありました。今後もこの情報を活用して、患者さんに最適な治療法を提供していきたいと考えています。
3. サルモネラ菌陽性患者の診療と再検査の考え方
食品を扱う事業所での検便において、サルモネラ菌陽性であるものの、下痢や嘔吐、腹痛、発熱などの症状がない患者さんにどのように対応すべきかという課題に直面することがあります。今回の記事では、そのような症状がないサルモネラ菌陽性の患者に対して、どのように治療や再検査を進めるべきかが詳細に説明されていました。
医学的には治療は不要だが、社会的にも治療を行うことが多いとのことでした。また、除菌後の判断も本来なら不要だが、会社の要請がある場合は対応せざるをえないとのことです。非典型的な症状を持つ患者への対応方法は、現場で直ちに役立つ内容だと感じています。
まとめ
今月の「ドクターサロン」には、現場で即座に活用できる情報が詰まっていました。睡眠時無呼吸症候群の高齢者へのリスク管理、こむら返りの治療法、無症状サルモネラ菌患者への対策など、どれも今後の診療に直結する内容です。今後もこうした知見を取り入れながら、患者さんの健康管理に努めていきたいと思います。
ドクターサロンは、エビデンスや医学的見地だけではなく、実臨床科が悩むポイントが詰まっていますので毎度楽しみにしています。
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