血尿診断ガイドライン改定について知っておきたいこと
2006年に初版が発行された「血尿診断ガイドライン」は、2013年に改訂されてから7年が経過し、血尿に関する新しいエビデンスの蓄積を受けて、再度の改定が行われました。これにより、診断やリスク評価の基準がさらに明確になり、患者さんに対する検査や診断の質が向上しています。今回は血尿診断のポイントを中心にご紹介いたします。
血尿診断のリスク別分類
まず、血尿は腎臓系か泌尿器系のものかを鑑別する必要があります。その上で、泌尿器系血尿であればリスクに応じた対応を行います。
低リスク群
- 年齢:男性40歳未満、女性50歳未満
- 尿中赤血球数:5~10個/HPF
- 危険因子:有害物質の暴露、排尿時の刺激症状、鎮痛剤の長期使用、骨盤放射線照射の既往、シクロホスファミド投与歴や長期カテーテル留置がない
これら全てを満たすと低リスク群とされ、定期的な経過観察が推奨されます。
中リスク群
- 年齢:男性40~59歳、女性50~59歳
- 尿中赤血球数:11~25個/HPF
- 危険因子:上記の危険因子のうち1つ以上が該当
中リスク群の患者さんには、当院では超音波検査と尿細胞診を実施して対応しております。
高リスク群
- 年齢:男女ともに60歳以上
- 尿中赤血球数:25個以上/HPF
- 喫煙歴や肉眼的血尿の既往
高リスク群に該当する場合、泌尿器科専門医への紹介が推奨されます。実は、喫煙歴があるだけで既に高リスク群なんです。泌尿器の癌の70%が喫煙に伴うものであるとされた論文を以前見たことがあります。これは発がん物質が肺から吸収され、尿から排出されるためだと言われています。
江口医院では尿沈渣検査は実施しておらず、尿検査と腹部超音波検査が可能です。水腎症の有無や腎の実質の評価も行えますが、個人的な見解として、腎実質の評価は難しいと感じています。
また、膀胱鏡検査やCT検査は当院では実施できません。そのため、最新のアルゴリズムに基づいて腎臓内科や泌尿器科への紹介を検討することが重要です。
腎臓内科紹介の基準
血清クレアチニンが異常に高値、またはeGFRが50以下、尿蛋白や尿白血球の陽性といった場合には、腎臓内科への紹介が適切です。また、尿中アルブミンや尿蛋白の定量検査、eGFR区分を元に紹介の必要性が決まりますが、患者さんの体力や年齢も考慮しながら判断しています。
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