喧嘩勃発!?事務長なんかクリニックから出ていきやがれ、こんにゃろめ!!
2025年上半期の医療機関の倒産は35件となり、過去最多のペースで推移している。物価高や人件費などの高騰による収益悪化や経営者の高齢化、建物の老朽化などを背景に事業継続を断念する事業者が相次いでおり、2025年の倒産件数ははじめて70件に達する可能性がある。
どれだけ丁寧に診療をしても、財務や人事労務の数字を直視せざるを得ない瞬間が必ずやってきます。佐賀市のような地方都市にあるクリニックでも例外ではありません。ここで頼りになるのが「財務コンサルタント」や「経営企画のサポート」ですが、本当に必要なのでしょうか。今回は自分の体験をもとに考えてみたいと思います。
コンサルタントの定義 ―臨床ではなく経営のサポート
ここで言う「コンサルタント」とは、臨床的なアドバイスではなく、財務・経営企画・人事労務といった分野を助けてくれる存在です。
自分が依頼しているのは、主に以下の領域です。
-
財務三表の解析(年次データを整理し、比較・トレンドを提示)
-
行政資料の読み込みと、そこから導かれるクリニックへの示唆
-
経営判断の補佐(例えば賞与基準や昇給幅の相談)
-
内部資料のダブルチェック
-
時に人事労務に関する助言(昇給の基準、賞与の額の第三者評価)
銀行などの外部機関との付き合い方
厚生局への提出資料についての相談
つまり「事務長を外部にアウトソーシングしている」イメージに近いですね。小規模クリニックでは専任の事務長を雇うリソースがありませんから、地域で共有する感覚です。
ってことで、事務長なんかクリニックから出ていきやがれ!って訳です。
なぜコンサルを導入したのか ―院長の時間を取り戻すために
数字を具体的に出すのは難しいのですが、院長の時間を減らせることが最大のメリットです。
例えば:
-
財務三表を読み込み、他のクリニックや平均値と比較 → 2〜3時間
-
行政資料の読み込み → 60〜90分/月
これらを一人でやると、あっという間に半日が消えます。しかも臨床に集中すべき時間が削られていく。ここをアウトソースすることで、患者さんに向き合う時間を取り戻せるのです。
自分は「経営がうまくいけば、社長である院長は徐々に楽になるはず」と思っていました。ところがどっこい、クリニックでは医療サービスが医師に直結しているため、そうはなりません。
楽になるとすれば「社長業=経営判断部分」を
委ねるしかない。
コストとROI ―費用対効果はどうなのか
コンサル費用は月に3〜5万円程度。加えて追加業務があれば別途費用がかかります。サポートは月1回の面談+チャット。
ではROIはどうか。
自分の場合、財務三表+行政資料の読み込みを任せることで月に3〜4.5時間の時間が浮きました。医師としての時間単価を仮に1時間=4,500円〜1万円とすると、月13,500円~45,000円となり、費用はある程度カバーできると考えています。もちろんこれは直接的な計算ですが、臨床に専念できることで得られる患者満足や診療の質は数字以上に大きなリターンでしょう。
コンサルタントの効用と限界
効用
-
批判的な視点をもらえる:一人でクリニックを回していると、お山の大将になりやすいですよね。ねぇ院長、怒ってくれる人いますか?自分はなんと3人(母と妻+先輩)+コンサルタントですね。第三者の冷静な視点はマジ貴重。
あの、この記事見て「院長に一言申してやる!」と思った方、感情抜き+数字で批判しないとダメですよ。 -
人事労務の相談ができる:賞与や昇給など、スタッフと直接は話しにくいテーマを外部に相談できる。全体的な収支と他のクリニックや職種とのバランス、そして、個人の態度、成績、貢献です。高すぎても、低すぎてもいけない話なのでダブルチェックをお願いしています。
-
専門家ネットワーク:税理士や社労士と連携してくれることもあり、院長一人では到底カバーできない範囲を支援してくれる。特に人事関係はコメントがありがたいですね。当院は、社労士さんとの契約をしていないのですが(独学+労働基準局に質問攻め)、そんなときのアドバイスがありがたいです。
限界
ただし、コンサルはあくまで「経営」の補助であり、臨床そのものを支えてくれるわけではありません。過度に経営数値に偏ると、患者サービスが犠牲になるリスクもあります。
プライベート・エクイティが医療法人に入るとサービス低下や患者満足度低下が報告されているのと同様に、コンサル介入でも「収益改善=サービス低下」となる可能性は否定できません。
そして、新規性の高いアイデアは出にくいですね。他のクリニックや病院の一般的な状況などは共有してもらえますが、コンセプト自体は自分で練る必要があります。だからこそ、KPI(key perfomance indicator)などは自分で設定しています。
クリニック経営の特性とコンサルの位置づけ
医者は「社長2割・営業8割」という感覚に近い。診療報酬が厳しい時代、臨床をおろそかにして経営だけに偏っても持続性はありません。
だからこそコンサルタントを導入する際は、
-
臨床と経営のバランスをとること
-
短期の利益より、持続的な健全性を優先することが重要です。
自分の体験から得た結論
自分が依頼しているコンサルタントは、自らも店舗経営をしている人です。そのため「現場感覚」と「数字の冷静な分析」の両方を踏まえた助言をしてくれます。
自分にとっての価値は「数字を読む人」ではなく、方向性が大きく間違っていないかをチェックしてくれる存在。つまり「伴走者」としての役割です。
コンサルは万能ではありませんが、「一人で抱え込まず、批判的に見てもらえる仕組み」を持つことは、院長業を続けるうえで大きな意味があります。
まとめ
-
クリニックにおけるコンサルタントは「事務長のアウトソーシング」のような存在。
-
費用は月3〜5万円程度。ROIを考えるとまあ回収可能。
-
効果は「時間の確保」「批判的視点」「人事労務の相談」「専門家ネットワーク」。
-
限界は「経営偏重になりすぎるリスク」。
-
最も大切なのは 臨床と経営のバランスをどうとるか。
いかがでしょうか?
自分は「コンサルタントは必要か?」と問われれば、万能ではないが、時間を取り戻し、臨床の質を守るためには有効だと考えています。佐賀市で開業して2年、自分自身が試行錯誤しながら得た実感です。
もし、佐賀市近辺でコンサルタントに興味があれば繋ぎますよ。連絡ください。
コメント
コメントを投稿